任侠ヘルパー
□任侠ヘルパー
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‐タイヨウ‐
昨夜、娘さんである長岡初美さんに依頼され、お母さんである長岡孝江さんの自宅に介護に行った彦一さんと美空さん。
彦一さんが、また何かやらかしたらしい。
晴菜「ほんとに、すいませんでした。」
園崎「難しい人だってことは、事前に聞いていたからね。」
和泉「人選ミスですよ。
まともな奴に行かせるべきでした。」
彦一「うるせぇ。」
浩美「それにしても大変そうね、そのお家。
そんな性格のお母さん一人で介護してるなんて。」
「中学の好調を努めた経験もあるそうですから、プライドが高いみたいですよ。」
園崎「典型的なシングル介護だし、ちょっと心配だね。」
彦一「くそばばあがよ。」
二本橋「所長、利用者の家族の方がきています。
話があるそうで。」
何人かの女性が、タイヨウに押し掛けてきていた。
りこ「だからちょっと待てって。」
女性「もうあなた逹じゃ埒が明かないわ!」
りこ「埒が明かないって何だよ。
呼ぶから待ってろっつってんだよ。」
女性「ちょっと何、その乱暴な言い方!」
園崎「どうされました皆さん、そんな連れ立って。」
女性「どうしたこうしたもありませんよ所長。」
女性「ここ、ハートフルバードとフランチャイズ契約してるんですよね。
こんな記事出ちゃって大丈夫なんですか?」
園崎「記事?」
女性が見せてきた週刊誌の表紙には、羽鳥顧問が母殺しだと書いてあった。
和泉「母殺し?」
羽鳥顧問の記事を読んだ私達は、ネットを見てみた。
和泉「フランチャイズ施設一覧に、うちの名前も出てます。
名指しの批判はまだありませんけど。」
浩美「どうりでねぇ。
最近入居希望者が減ったと思ってたのよ。」
晴菜「ほんとなんでしょうか、羽鳥顧問のこと。」
和泉「ほんとかどうかってことより、批判が広がることのほうが問題だよ。
どうします、所長。」
園崎「うーん、うちはうちのやり方でやっていけばいいさ。
皆さんにはそれでご理解して頂けるでしょう、ねえ?」
『………』
‐休憩室‐
休憩室でも、記事のことが話題になっていた。
二本橋「認知症の母親捨てて男と逃げて結局死なせた。
これほんとだったら、ひどい話ですよね。」
三樹矢「つーか何でそんな過去あんのに介護事業なんかやってんすかね?」
五郎「そりゃお前、儲かるからに決まってんじゃねぇか。」
六車「どうでもいいよそんなこと。
それより、どうするんですこれから。」
彦一「あ?」
六車「こういうスキャンダルは僕らにとってもまずいでしょう。
世間の目が集まると何かの拍子に正体が知られるかもしれない。」
二本橋「今まで以上に大人しくしてはほうがよさそうですね確かに。」
六車「むしろ、そろそろ潮時かもしれませんよ。」
りこ「研修やめるってことかよ?」
六車「ヘルパーとしてのノウハウは学んだ。
もう頭に決断を迫る時機ですよ。
この中の誰を幹部にするのか。」
『………』
すると、休憩室に涼太くんが入ってきた。
涼太「兄貴……」
記事が書いてある雑誌を見つけた涼太くんは雑誌を見たが、彦一さんに取り上げられてしまった。
彦一「相変わらず辛気臭え顔してんなお前は。
大人の話してんだよ、ほら外行くぞ。」
涼太くんと休憩室を出て行こうとした彦一さんを六車さんが止めた。
六車「話の途中ですよ。」
彦一「勝手にやってろ。
俺は頭の指示待つだけだ。」
そう言って、彦一さんは外に行ってしまった。
五郎「何か、兄貴変わった気がすんな。」
りこ「………」
「……六車さん、義父に決断を迫るのはもう少し待ってください。」
六車「なぜです?」
「もう少し待ってください、お願いします。」
『………』
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