任侠ヘルパー

□任侠ヘルパー
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タイヨウに、新しい入居者がきた。


入居者はうちの組と敵対関係にある鷲津組の組長だ。


私は、お義父様に呼ばれ隼會に顔を出し、お義父様と彦一さんの電話を聞いていた。


でも、それより気になるものがある。



「………」



私は、目の前にいる男を真っ直ぐ見つめた。


信じたくなかった。


まさか……



「………」



彦一さんとの電話を終えたお義父様が男と話している。


その様子を黙って見つめてることしかできない私。



源助「もし連中が、下手な動き見せたら……」


和泉「分かってます。」


「………」



和泉さんの腕に、隼會の刺青。


タイヨウで一緒に働いているはずの和泉さんが、お義父様と話している。


何で、どうして?


和泉さんはヘルパーじゃないんですか、?



源助「明日香、さっきから黙ってどうした?」


「……どうして、和泉さんがここに。」


源助「和泉は、隼會の人間だ。」


「………」


和泉「お嬢様。」



すると、和泉さんがいきなり私に向かって頭を下げてきた。



「……?!」


和泉「申し訳ありません。」


「え、何なんですかいきなり、」


和泉「いくら正体を知られないようにするためとはいえ、お嬢様に偉そうに命令するなど数々のご無礼を……


申し訳ありませんでした。」


「え、ちょ、やめてください和泉さん!」


和泉「俺は和泉さんなどと呼ばれる人間ではありません。」


「………」


源助「………」


「そんなこと、ありません。」


和泉「え?」


「確かに、隼會の人間だってことは驚いたけど。


でも、和泉さんは和泉さんじゃないですか。」


和泉「お嬢様、」


「だから、今まで通りの和泉さんでいてください。


仕事では今まで通り、尊敬する先輩の和泉さんでいてください。」


和泉「………」


「和泉さん、お願いします。」


和泉「……分かりました。」


「それより、お義父様も一言言ってくださればよかったのに。」


源助「そうだな(笑)」


「笑って誤魔化さないでくださいっ!」


源助「(笑)」


和泉「……(笑)」


「お義父様、鷲津のことは……」


源助「様子見だな。」


「分かりました。


研修メンバーには、勝手なことはしないよう、釘をさしておきます。」


源助「そうしてくれ。」


「はい。」


源助「お前も、鷲津には気をつけろよ?」


「え?」


和泉「何かあったら、俺がお嬢様を守ります。」


源助「頼んだ。」


和泉「はい。」


「………」







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