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□昼休みの屋上
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屋上のフェンスに寄りかかって空を見上げた。

こんなの俺には似合わないなんて分かりきっている事だけれど、

無性に空が見たくて。

昼休みももう半分を過ぎようとしているのに弁当にもまったく手をつけずに空を見続けていた。

そんな時、

ぴた、

といきなり左の頬に冷たい金属の感触。

『…冷たい、』

キンキンに冷えた缶を頬に押し付けてくる花井を横目で見て呟く。

『お前、何で居「飲むか?」

こいつは案外人の話を聞かないやつなのかそうかと思いながら差し出された缶を見るとそれは、

俺がいつも飲んでる烏龍茶だった。
(覚えてたんですか、花井くん、)

『…貰っとく。 さんきゅ、』

素直に烏龍茶を受け取る。

「…お前、何かあったのか?」

『ん〜?何もねーけど、何で?』

「や、何でもねぇなら良いけど。何か今日可笑しいみたいだったから、さ、」

それはキャプテンだからなのかそれとも、

自惚れても良いんだろうか、

『まぁ可笑しいって言えば可笑しかったんだけどな、』

「はぁ?」

なんか今は、
何ともないわ。

そう言って苦笑すれば、花井も苦笑した。
最も、苦笑なのか何なのか、よく分からない笑い方ではあったが。

隣にいるきみを見て、
何となく、分かった。

俺が無性に見たかったのは空なんかじゃない、

今隣にいるきみだ、って。

昼休みの屋上
(心配性なキャプテンにはまだ、秘密。)

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