彩雲国物語
□世界の狭間
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眩い光に目を閉じて、開けたらそこは一面水で溢れていた。
床も、空と思われる場所も全て水で覆われている。
それなのに不思議と自分達の居る所は水に浸かっていない。
まるで、水族館のように水と自分達の間にガラスの壁があるかのように空間が区切られている。
『どこやねん!?ここ!!』
「わからん。水の中?」
全くもって訳が分からない。
何で休日の、それも親友の朔葉と一緒の時にこんな訳の分からない所に来なきゃいけない。早く帰りたい。
鈴は泣きそうになりながらも、周囲の様子を窺って見る。
水・水・水・水・水
水しかない。
『舐めとんのか!!コラー!!!』
「落ち着けって。ここから出れないって決まってないんだし、出口か何か探そうぜ?な?」
『・・・・・うん・・』
(でも、周りは水ばっかだし出口なんか見当たらないよ)
とりあえず鈴は、早速手近にある水の壁らしきものを蹴りまくってみる。
ガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
(いい加減イライラしてきた。マジでムカつく。えぇーい、八つ当たりしちゃえ!どうせ僕には関係ないし!)
そう思って、思いっきり蹴ろうとしたその時
「止めぬか!神域を何だと思っておる!!」
若干苛立ちを含んだ声がする。
振り返ってみると、10歳程の男の子が鈴を見て声を荒げている。
「身勝手に呼んでしまった事を謝っても良いと思っていたが、その気が失せたわ!この様に野蛮な者を呼ぶのではなかった!!」
一人でブツブツと文句を言っているその男の子に朔葉が声をかける。
「お前ェは、何処から来たんだ?親はどうしたんだ?逸れたか?」
優しい声色で話しかける朔葉に気を良くしたらしいその男の子はニコニコと話し始めた。