その他
□もう一度会いたい
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今はまだ真夜中。
ふと窓のカーテンを開き外を見れば優しい光を放つ満月がそこにいた。
月は宵風のようだ。
儚げな雰囲気で壬晴を照らし見つめてる。
先程まで夢で思っていたことを口にしてみる。
「…宵風、逢いたい」
誰にも言えず心にしまい込んでいた言葉は声に出すと余計に胸が締め付けられて苦しくなった。
“壬晴…泣いてるの?”
ポロポロと溢れる涙をそのままに聞こえるはずのない声を聞いた。
「くっ…宵風、に…逢いたい」
“僕は…いつも壬晴の、側にいる…”
淡い光に抱きしめられる。
その温もりは宵風のものだった。
久しぶりに感じたその温もりに愛しさが込み上げる。
「…宵、風?」
“そうだよ…僕だ”
壬晴は抱きしめられている腕の中で後ろを向くとそこにいたのはやはり、声の人そのものだった。
逢いたくて逢いたくて堪らなかった相手。
「宵風…好きだよ」
“僕もだ…壬晴”
そう言って淡い光は夜明けとともに消えていった。
Fin