GS:葉月/姫条/他

□たなばたさらさら
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 たなばた〜さ〜らさら〜



 彼女の言葉に合わせて、笹竹の葉がさらさらと鳴る。
 魔法みたいだけど、春霞なら出来てしまいそうな気がして、苦笑がもれた。

「笑うんなら、珪がつけてよ」

 両手を上げたままの春霞の小さな手を上から包み、その細い指と一緒に短冊を括り付ける。

「ありが、と」

 小さくはにかんだ笑顔の彼女と、小さい頃の彼女の姿が重なった。
 同じじゃないのに、同じ春霞だ。

 変わってしまった思っていたのに、春霞はその全部を受け止めて生きてきたんだと知れる。
 そうして、また春霞を好きになる。

「織姫と彦星、逢えたのかなぁ」

 夜空を仰ぐ姿が光を伴い、彼女自身も恒星のように輝かせる。

「逢えただろ」
「だといいよね」

 光が寄ってきて、そうして俺も照らしてくれる。
 柔らかくて優しい光は春霞特有だ。

「ずっと一緒だと良いのにね」

 楽しげに見上げる姿にキスを落とした。
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