GS:葉月/姫条/他

□雪の結晶
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 光の中でただお前は眩しくて。

 この光の中から連れ出したら、俺も輝けると思った。

「雪――っ!
 珪、雪だよ!!」

 外にでたとたんに駆け出して、空を仰ぐ姿はまるで子供で愛しくて。

「雪なんて、珍しくないだろ?」
「そりゃ〜毎年見てるけど!
 今日は特別!!」

 何が特別なんだか。

 苦笑して近づくうちに白い欠片はいくつもお前に降り注いで、いつか見えなくなりそうな気がして怖くなった。

 雪の白さがまた、春霞を輝かせる。
 赤いコートが白で埋まって、朝焼け色の髪が白く染まって、お前の吐息までも雪に埋められて。

「……冷たいね」

 引き寄せた腕の中で、そう言って赤い舌を出してお前は笑った。

「雪、食べたのか」
「うん。
 冷たい」

 近づいて見ると、雪が積もってもお前はお前のままだ。
 吐き出される吐息もすぐに白く変わるのに。
 春霞は春霞のままだ。

「温めてやろうか」

 重なりかける顔の目の前で、なにかを見つけた瞳が輝く。

「雪の結晶ってさ、綺麗だよね」

 一片が春霞の鼻の頭に落ちる。
 冷たさに目を瞑ったところで、笑いながらそれを掬いとる。

「……冷たいな」
「ずるっ!」
「分けてやる」

 今度こそ逃げないように捕まえた腕の中で、雪よりも甘いキスをする。
 降り積もる雪を溶かすほどの熱いくちづけを交わす。

「冷たかったか?」
「……雪、積もってる」
「中、戻ろう」
「……うん」

 繋いだ手は二人とも冷たいけど、どこか温かい気がした。
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