GS2&4:読切

□ふれあう
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 私を包む大きな体は熱くて硬い。

「苦しくない?」
「あったかい」
「んんっ、うん」
 卒業式の告白の後で、キスもしたのに、彼は私に怖怖と触れる。

 いつまでも変わらない距離感に焦れたのは私の方だった。

 二人きりの部屋で、大きな彼の腕の中にすっぽりと収まり、寄りかかって目を閉じる。

「ふふっ、音、速いよ」
「そりゃぁ…そうだろ。な、もういいか?」
「だぁめ」
「でも、オレ」
「だめ」
「っ」
 少し身じろぎして、私は両手を彼の背中に回す。

 私の腕じゃ全然覆えないぐらいに大きな人が、私を抱きしめて震えているのは、正直可愛いなと思う。

「…はぁ」
 私の首元に頭を擦り寄せ、思わず溢れた様子のため息は、偶然にも私の首筋にかかって。

 背中を抜けるゾクゾクする感覚に体を震わせると、彼も震えて顔を上げた。

「あ、悪い」
「ううん、大丈夫だから、このまま」
 それよりも離れてしまう方が嫌で、腕に力を込める。

 少し考えた風の彼だったが、次には思わぬ行動に出た。

「……そう? なら、」
 もう一度首元に顔を寄せたかと思うと、フッと耳に息を吹き付けられる。

「っ」
 ぞくぞくぞくっと血がめぐり、耳に意識が集中する。

「……んんっ」
 ちゅっと耳に口付けられ、ぎゅっと目を閉じる。でも、力が抜けかけた私を抑えて、彼は何度も耳に口を寄せてくる。

「……どうかしたのか?」
「っ、ん、んん…っ」
 囁く声にクラクラして、耳に口付けられる感触にドキドキして、もう限界だった。

「お、おわりっ、もう、終わりぃっ」
 力を緩めた彼が、赤らめた顔をニヤニヤさせて、私を覗き込んでくる。きっと私の顔も同じかそれ以上に赤くなってることだろう。

「オレの勝ちだな」
 お互いの額を合わせて、同時に笑う。実のところ、こうして触れ合いたくはあるけれど、恋愛初心者の私にも彼にもこの先はなかなか難易度が高いのだ。

 だから、今のところはこれだけでいい。

「今日は、ね?」
「明日もオレが勝つよ」
「それはどうかなぁ」
 無意識にだろうけど、明日もこうすると言ってくれる彼に、私は嬉しくなって笑った。

 明日も明日の明日もその先もずっと、こうして毎日触れ合っていたい。
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