GS:葉月/姫条/他

□キスの報復
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 春霞の消えた玄関をしばらく眺めて、葉月は柔らかく微笑んでいた。

「なんで、春霞、いかなかったんだろ?」
「あっ、バカ!
 こっち来るよ!!」

 角に隠れていた5人の前に、さっと葉月が現れる。

「きゃ〜っ」
「あ!珠美ずるいっ!!」

 あっという間に珠美と鈴鹿が逃げ去り、遅れた奈津実は捕まった。

「覗きとはイイ趣味だな」
「あ、あはは。
 だって、二人のことが心配だったからさ〜。
 うまくいったんでしょ、春霞とv」

 赤くなるかと思いきや、表情を変えずに葉月は小さく礼を言った。

「……ありがとう」
「あれ。
 うれしくないの?」
「もうたっぷり覗いてたんだろ」

 え。

「何、最初ッからバレてたワケ?
 じゃぁどうしてキスしてたのよーっ」

 じっと塀に立っている二人に葉月は目を向けた。
 そこには姫条とその影に隠れるように尽がいた。
 姫条は隠れようとはしていない。

「見せ付けるため」

 うわっ、性格わるーっと、奈津実は呟いた。
 でも、少し彼女的には助かったのかも。

「オレか?オレにか!」
「春霞はオレのだ」

 二人の間の火花に奈津実は、ため息を吐いた。

 姫条が春霞を諦めるのは、まだ当分先のようだ。
 つまり、奈津実のシアワセも当分、先。

 あ〜ぁ、とっとと二人が結婚でもしちゃえば、全部解決すんじゃないのかなぁ。
 春霞も余計な心配しなくて済むようになる……。

 あ、そうさせればいいのか。

「葉月ぃ、あたしイイコト思いついちゃったんだけど〜。
 あんた達がずっと一緒にいられる方法v」

 それを使う使わないは葉月の自由。
 ついでに後で春霞にも言っとこう♪

 姫条に報われない分の奈津実のエネルギーは、こうして春霞たちに使われていくのであった――。
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