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□綺麗な薔薇に棘があると言うならば
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月明かり差し込むハッチから声がした。

「よぉ、ロマンチスト」

「ん?」

「バリー様だよ」

赤い髪を揺らし、バリーは新人の目の前に現れた。

カラフルな彩りの服に身を包んだ彼は梯子に片足を掛けたまま見下すように笑う。

「こんばんはバリー!
今日はお月様が綺麗だね」

「お前本当につまんないヤツ」

「何が?」

「悔しくないわけ?
おれ、今バカにしてたんだぜ」

「よく分かんないけど…
月を見てみたら?
すごく落ち着くッスよ」

「相変わらずだな、
おれ様がせっかく抜け出して来たのに」

バリーは触れた者を毒に犯してしまう力があった。

彼自身が毒を持っている為、その危険性から、
彼の部屋は厳重に施錠され、外出出来ない作りになっていた。

「で、」

「うん」

「何も思わないのかよ」

「え?」

少し恥ずかしそうに目を逸らして言った。

「だからさ、
……………………」

「?」

口ごもるバリーの顔を覗き込む新人。

「おれ…」

「ん?」

「おれ、に対してさ」

「うん」

「いいヤツだな、とか
か、可愛いヤツだな、とか」

「えー…
そうッスね…」

首を捻る新人。





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