if 〜異種族のお話〜

□魔王の嘲笑
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魔王の嘲笑


魔狩ってのはどーしてこうも、馬鹿ばっかなんだろーか。
オレの魔力ぐらい感知できるだろ。
「死ねぇ!」
魔狩の女がトンファーを両手に持ち、オレに襲い掛かってくる。
オレはそれをギリギリでかわせたフリをする。
本当は、こんな攻撃簡単にかわせんだけどな。
「くっ・・・・・すばしっこい奴め!」
お前の目ぇ節穴じゃね?
オレはこれでも手加減してやってんだぜぃ?
せめてもう少しオレを楽しませろよ。



ほんの10分前。
コイツがオレの前に現れた。

「悪魔、ギル。貴方を、狩る。」
「オマエにそれができるかな?」

いきなり現れて、この台詞。
つくづく魔狩ってのが命令に忠実なのかが分かるぜ。
ま、暇つぶしにでもなればいい方だ。
せいぜいオレを楽しませろよ?

オレの口元がつり上がったのが、自分でも分かった。



それからずっと、受け身に徹してきた。
もういいだろ。つーかいいかげん、飽きたし。
ザコとの戦いはつまんねーなぁ。
「つまんねー攻撃ばっかしてんじゃねーよ。
退屈すぎて、コロシたくなってくるじゃねーか」
「なっ・・・貴様っ!!」
頭に血が昇っちまったらしい。がむしゃらに攻撃してくる。
こーゆー攻撃ほど避けやすい攻撃はねーってのに。分かってねーなぁ。

あぁ、もう、我慢の限界だ。
退屈すぎて。
つまらなすぎて。
コロシたい。

「つーか・・・コロスぞ?」
言うが早いか、魔狩の喉元を掻っ切った。
喉の切れた部分から血が吹く。

これだよ、これ!
オレの至福のひととき!
あぁ、幸せだぜぃ・・・!

「まじゃ、がっ・・・おま、うぉ・・・狩る・・・!」
喉が切れたせいで、何言ってんだか分からねぇ。
とりあえず、まだオレを狩る気でいるらしい。
そのオーネンに対する忠誠心は買ってやる。
けど、ま、無謀だぜぃ?
なにせ相手は、オレ。
「魔王ギルだからなぁ!!」


『魔王』
その言葉を聞いて一瞬目を見開いた。
まぁ、当然っちゃ当然だがな。
魔王を狩ることは禁止されている。
この世の大罪の一つだ。
ただ、魔狩のほとんどはオレが魔王だってことを知らねぇ。
だからこーして無謀にも戦いを挑んでくるわけだ。
『悪魔は狩らなければならない』
そんな、オーネンのヤローの命令に従って、な。


硬直しているヤツの頭上へ跳ぶ。
手で頭を鷲掴みにして地面に叩きつける。
そして、ヤツの背中に着地した。
「グギャッ」
「そろそろ、この世ともお別れだぜぃ?
言い残したことがあったら聞いてやるよ」
まぁきっと何も言えねぇだろうな。
喉切れてっし。
それに死んでも、来世あるし。

「んじゃ、そろそろ、さようなら」




ヤツの血が、オレの視界を埋め尽くした。



end.
 

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