if 〜夢見る子供のお話〜
□始まりと終わり、そして始まり
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“悪魔の子”のお話 〜始まりと終わり、そして始まり〜
なにもかもが、どうでもよかった。
空が、飛べるなら。
「今日も空は青いですね。」
一人の少女が、空を見上げて呑気に呟く。
少女が言ったとおり、空は真っ青で、いつもとかわらぬ青さだった。
「今日の空はぁ、輝いてるよぅ。」
隣にいた少女が、先程の少女以上に呑気に、言った。
先の少女と違い、この少女にとって空は、毎日変化しているものらしい。
「いつだって空は輝いてるでしょーが。」
隣の少女が言った。きっとこのような会話は、初めてじゃないのだろう。
その証拠に、声が半ば呆れ口調になっている。
「そんなことはぁないよぅ。リクにはぁわからないとぉ思うけどぉ。」
「あたしはソラと違って現実を見てるからね。」
二人の少女が喧嘩腰になったが、最初の少女が
「二人とも、喧嘩は駄目ですからね。」
優しく、しかしきつく、制止した。二人の少女はすぐにおとなしくなった。
「まったく、ソラは空ばっか見すぎだよー?もっと他の物も見ようよ。たとえばー・・・恋愛とか。ねぇ?カイ。」
リクははぁ、とため息を漏らしながら言った。
「そうね。空は綺麗だけど、毎日見るのではなくて、たまに見た方が綺麗さがわかるわ。絶対に。」
カイもリクに同意する。
「そうかなぁ?ボクはぁ、ずっとぉ空を見ていたいなぁ。」
ソラはやっぱり、呑気なままだった。
ソラとリクとカイは、小さい頃から仲が良かった。家も隣で、いわゆる幼なじみだった。
昔っからソラは呑気で、リクは真面目で、カイは優しかった。三人の友情は、終わることがないように思えていた。
三人とも、終わらないと思っていた。しかしそれは、思っていただけで、現実はリクが見ている現実よりも現実的だった。