if 〜騙された子供のお話〜

□始まりと終わりの狭間
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「君は大罪を犯した。だから今後、一億の魂を運んでもらう。いいかい?」

「はい、オーネン様。」

こうして、おれは“死神”になった。







「“死神”というのは、元々は“人間”や“獣”などの、魂を食わない存在だったんだよ。

だけどそんな彼らは、ときにルールを破るんだ。そしてルールを破った者は人生が終わると、ここへ来る。」


広い、なにもかもがない部屋。

あるのは。いや、いるのは。金髪の少年と同じく金髪の青年だけ。

その部屋の中で、青年の声が響く。


「んなこたぁ知ってる。なんで俺にそれを言うんだよ。」


少年というには高い、凛とした声。

少女と呼ぶには低く、少年と呼ぶには高い声。

乱暴ではあるけれど、少年の意志がはっきりと伝わる声だった。


「これから一人、“死神”になる“人間”が来るんだ。だからそれのリハーサル。カッコよかっただろう?もしかして惚れ・・・ッブ!」


少年、いや、青年の台詞を聞くかぎりでは少女なのだろう。

少女は青年のナルシスト発言を、飛び蹴りで頬に当てることで止めた。


「いっぺん死んでこい。」

という台詞つきで。


「照れているんだね?ツン。そんな君もかわ・・・グホッ」

懲りない青年をツンと呼ばれた少女は、鳩尾をおもいっきり殴って止めた。

「うるせぇよ、オーネン。」

という台詞と、冷ややかな視線つきで。
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