はじめてのおかしづくり
『ちょっと狩りに行ってくる。明日の夕方には帰るから』
昨日、ツンは賞金稼ぎに行った。
ルーはそれに引きずられていった。
『仕事あるから行ってくるわね。夜には帰ってくるわ』
コンは旅館の仕事のため、今日、朝一で家を出た。
残ったポエは、家を出た。
向かう先はデパート。
の、<バレンタインコーナー>。
手には一万円札が数万握られている。
・・・いくらなんでも無防備すぎやしませんか。
せめて財布に入れましょうよ。
そんな地の文が聞こえていないのか(普通は聞こえない)、ポエはデパートに到着してしまった。
カゴを取ると、一直線に目的のコーナーへ。
そしてそこにある材料を、ポエはカゴいっぱいに購入した。
えーと。
何人分、作るつもりなのでしょうか。
141cmという身長に似つかない大きなビニール袋を持って帰宅したポエ。
さっそく、買ってきた材料でチョコづくりを開始。
鍋に火をつけ、その中に水・・・・・ではなくチョコを投下。
しかも刻んだものではなく、板チョコを丸々、である。
投下したチョコをポエはじーっと見つめている。
その間にも、チョコは温められていく。
そして。
「・・・・・焦げた」
そりゃそうだ。
「なんで」
直火ですから。
「・・・・・ググろう」
この家のパソコンのスタートページはYahoo!ですが。
「じゃあヤフる」
そんな言葉があるとは。初めて知りました。
・・・じゃなくて。
地の文と会話を成立させないでください。
ていうか聞こえてるってことはさっきのは無視ですね!?
「・・・・・」
・・・・・無視ですか。もういいです。
ポエはパソコンを立ち上げると、Yahoo!を開き、『チョコの作り方』と入力。
そして。
「ポチッ」
検索。
ていうかこっちの台詞とらないでください。
「・・・・・ちぇ」
もう気にしないことにします。
そして、見つけた。
「いちごに、チョコをかける・・・」
それは、フルーツにチョコをコーティングするだけ、という至極簡単なもの。
「ツンは、みかん・・・?」
ミカン好きなツンにはミカンにチョコを。
けれど今日、フルーツは買ってきてないので。
「うー・・・」
また買い物へ行きましょう。
「ただいまー。って・・・・・?チョコ?」
ツンとルーが帰ってきた。
さすがに部屋に充満したチョコのにおいには気づく。
「あら、良いにおいね」
そのあとから、コンも帰ってきた。
そこへとことことポエがやってくる。
「はっぴー、ばれんたいん」
「ポエが作ったのか?」
ルーが聞くと、ポエはこくりと頷いた。
「おー、うまそうだな」
机の上にはたくさんのフルーツ。
それにはチョコやデコレーション用のアラザンやチョコスプレーがかかっていた。
しかし。
ポエが買ったチョコの量より、遙かに少ない。
実はあのあと、レシピを見ながらやったのだが、それでもポエはミスを連発。
食べられなくなったチョコが大量にできてしまったのだ。
ポエはそれを全てゴミとして処分。
そして今、何事もなかったのようにしている。
「じゃあ今日は、ポエの作ったチョコでパーティーね」
「さんせーい」
ポエは指の絆創膏を隠しながら、自分の席についた。
end.
††††††
バレンタインということで、チョコチョコなお話を。
実はツンもコンもポエの失敗には気づいてます。
ルーは気づいてません。ルーですから←
そして普段は書かないコメディテイストなので
ちゃんとコメディになってるかは不明です。
では。
ハッピーバレンタイン☆