Under the blue rose
□act.23
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「あら、キラ。どうしたの?こんな早く…」
ヴィアはバラが好きで、新種のバラ等も作ったりしている。そのヴィアの為に、両親がかなり大きい温室を造っていた。
繊細なバラを育てるのは非常に困難で、ヴィアは毎朝早くに温室に訪れていた。
その事をよく熟知していたキラは、真っ先に温室にやって来たのだ。
そもそもキラがヴィアのもとに訪れたのは、ラクスの事を話す為であった。
父に言うこともできず、誰にも言えず溜め込んでいると、どうしたら良いのか分からなくなる。
昔から何か悪いことすると、ヴィアに溜め込まずに母様に言ってね―――と言われ育ったキラは、悩んだ果てにヴィアのもとを訪れたのだ。
「あーうん。ちょっと母さんに会いに…」
さすがに単刀直入に言うことが出来なかったキラは、下手に笑った。
その様子を見ていたヴィアは、キラの嘘を見破ったのかクスクスと笑いを零していた。
「ふふ、おかしなキラ。―――まだ朝食もいただいていないでしょう?私もこれからだから、一緒にいかが?」
何か言いたげな息子に、あえて問い詰めることはせずにヴィアは微笑んだ。
キラはヴィアの笑顔が昔から好きで、重かった心が少し軽くなった気がした。
キラはヴィアに続いて淡く微笑むと、ヴィアの隣を歩いて食堂に向かった。
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