短編

□あまのじゃく
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自分の我が儘でまた別れ話を切り出したくなってしまった。
慎吾が、忙しいって言ってる理由はよく分かる。だって受験生だし。

それでも電話が欲しくて、声が聞きたくてかけるけど、留守電で涙が出そうになる

これだから長期休み嫌だ。学校なら毎日会えるのに。






―ブブッ ブブッ …






携帯が突如になりだした。

見れば慎吾だ
あたしがかけたのに対してのかけ直しているだけで。なんか悔しくてそれを留守番電話サービスに転送してしまう



素直じゃないなって思いながら、その留守番電話サービスに残った慎吾の声を再生してみる





『電話、出れなくてごめん。予備校行っててさ… 今日はもう家にいるから、時間あるならちょっと話そうぜ。』




淡々と喋る罪な男

ちょっとかけたくなってしまう。けど手が震えて中々通話ボタンが押せない。

タイミング悪くお風呂に入ってたら、トイレ行ってたら、誰かと話してたら‥‥




何でこんなにも慎吾に電話かける時は辛いんだろう……





そう思ってると、また電話が鳴り出す。あたしは慌てて、通話ボタンを押して、相手との会話が始まってしまった





「は、はいっ」


『アハッ、どうした?そんなに慌てて』




慎吾だ!




「慌ててないよ!」

『声も震えてるし‥そんなに嬉しい?』

「なっ‥‥自意識過剰」

『はいはい』




慎吾が笑う。その姿が目に浮かんで思わずあたしまで微笑んでしまう。こんなにも慎吾の声は安心するんだ、なんて思った




『通話ボタン、中々押せなくってさ』

「、え?」

『タイミング悪かったら、ヤじゃん。』

「そうだけど…じゃあ、何でまたかけてきたの?」





『窓、あけてみ』






まさか。また期待させる言葉を、と思って窓を見る。暗闇から誰かがあたしに手を振っている。
眼鏡を装着し、再度また見ると慎吾だった






『予備校帰りに寄ってみたら、電気ついてたから』



「…ストーカーっぽい」

『失礼な!…まぁ、元気そうで何より』



「下行っても、良い?」

『おいで』






素直になれた自分に、拍手






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90106 啝樹


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