ガンダム00

□蟻×ニル
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「少し飲み過ぎたかな。」

 ゲイリーがそう言って店を出るとき、ロックオンは他意なくついて出た。

 人気のない夜更けの道を二人は話しながら歩く。

 そのかなり前方に何かが動くのがちらっと見えたかと思うと、突然ゲイリーが動いた。




 パンッ!!



 銃を出し、その何かを撃ったのだ。



 ギャッというような猫の声がして、それはすぐに逃げて行った。

「ちっ、外したか。」

 冷めた笑顔でそう言うゲイリー。

「お、おいっ! 何すんだよっ、あんたっ!!」

 ロックオンが慌てて相手の手を押えると、ゲイリーは肩をすくめた。

「猫を狙ったのが気にくわねーんなら…」



 パン、パン、パン。



 3発の銃弾は、猫がいた場所のほど近くにあった空き缶に向けて放たれた。

 それは全てかすりもせず。

「…ちぇっ、ハズレ。」

 何の感慨もなさげに呟き、ゲイリーはロックオンに銃を差し出した。

「撃ってみろよ。」

「な…何…」

 驚くロックオンに詰め寄り、また言う。

「撃てるんだろ? やってみろ。」

「う…撃てるわけないだろ?」

 たじろいで、差し出された銃を避けるために身を引く。

 背中がビルの壁に当たった。

「ウソだな。そんな闘いの匂いをさせてるくせに。」

「何言ってんだよ。何の根拠が…」

 反論しようとした唇はゲイリーの唇に塞がれた。

「!?」

 突然の行動にロックオンは一瞬目を見開く。

 でも、抵抗はしなかった。

 すぐに大人しく目を閉じた。



 唇を離すとゲイリーはまた、銃を差し出した。

「ほら、撃てよ。」

 口の端を上げた相手の顔に腹が立ち、ロックオンは唇をかむと銃を受け取り、即座に一発発射した。



 カンッ!



 空き缶が跳ね上がる。



「へーぇ、やるねぇ。」

「まぐれだ。」

 銃を手に持ったまま、顔を背けて機嫌悪く言う。

「ウソツキだな、お前。」

 銃を持った手を壁に押さえつけ、ゲイリーはまた唇を合わせた。

 左手で、くっとゲイリーの胸を押す。

 すると、唇はすぐに解放された。

「あんただって、ウソツキだ。」

 上目使いに見やり、ロックオンは言った。

「わざと外したろ。」

 ゲイリーは笑うだけで答えない。

 ロックオンは続ける。

「こんな街なかでいきなり撃つなんて、下手な奴がやったら危険極まりない。腕に自信があるから撃ったんだろ。じゃなきゃ、イカレタ奴だ。」

 肩を竦め、ゲイリーは言う。

「なら、そうなんだろ?」

 余裕の笑みが気に食わず、ロックオンはムッとする。

 ゲイリーは手を差し出した。

「返せよ。」

 自分の手の中の銃を見てしばし考え、ロックオンはそれをジーンズの腰に収めた。

「おいおい。」

「…あんたみたいな危ない奴に返せるかよ。俺が預かる。」

 それを聞いて、ゲイリーはまた笑みを見せる。

「ふん、分かった。預けとくぜ? 次、会う時までな。」




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