ガンダム00
□「刻の止まった部屋」シリーズ
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ロックオンに生きていてほしいという願いをこめて。残念ながら(?)BLではありません。
:::刻の止まった部屋:::
(まったく…厄介なものを拾っちまったな…。)
サーシェスは出窓部分に腰掛けると、煙草に火をつけた。
ちろっと窓の外を見て、またすぐ部屋の中に視線を戻す。
サーシェスの言うところの「厄介」は、朝から出かけたきり戻って来ない。
今は午後7時を回ったところだ。
(飯も食わねーで、どこほっつき歩いてやがんだ…)
そう思ってから、ちっと舌打ちした。
「俺は母親かっ! 大体あいつはいい大人なんだ。」
ほっときゃいいんだ、とぶつぶつ言って煙草を吸う。
そう、「厄介」はもう成人した男だ。
お金も「持たせて」あるし、出かけたのも本人の意思なのだから、普通なら心配の必要はない。
普通なら…。
(普通じゃねーから困ってんだっけか…。)
その男の普通じゃないところは、まず病み上がりだという事。
瀕死の重傷を負ったのは随分前だが、最近普通に動けるようになったところだ。
もっと問題なのは、彼が記憶喪失である事。
そして、その影響かどうかは分からないが、四六時中ポーっとしている事。
そんな手のかかる相手をサーシェスが「拾って」しまったのは、気まぐれとでも言おうか。
もっともサーシェス自身は、拾った当初、利用価値があると判断したのだし、今となっては「魔がさしたんだ」と言うだろう。
ともかく、彼は拾ってしまったのだ。
命脈尽きそうな男、ロックオン・ストラトスを。