ガンダム00

□蟻×ティエ
2ページ/6ページ

(BL・蟻ティエ・世界観不明・捏造色々)

bitter_voice






わからない、ワカラナイ、
彼が何を考えているのか
何のつもりで僕と一緒にいるのか




「よォ ティエリア、お前も飲めよ」
「……僕は未成年だ」
「つれないねー ったく…」

アリーが白けた様な声でそう言う。
さも付き合いにくいというような表情と溜め息だが、なら何故毎日毎日懲りもせず家に来るのか。

…“アリー”、か。

自分も随分とこの男に慣れたものだ。ファーストネームで呼べる相手など、そうそう出来ないのに。一人称も…

まあ、ここまで日常に(それも自分のプライベートに)食い込んでしまっているのだから仕方が無いのかもしれない。…納得はいかないが。

「…何故、何時も何時も…」
「前言っただろぉが。自分ン家(トコ)戻りたくねぇってよ」
「何故僕の所に」
「こっちが聞きたいね」

馬鹿を言わないで貰いたい、聞きたいのはこっちだ。

成り立たない会話に、目線を外し溜め息。




嫌いだ。どうも好きになれない。




カラン、音がして「飲めよ」と再び飲酒を促す声がする。

誰が、進んで犯罪者なんかに。
誰が、わざわざこんな男の好む酒など。


ちらりと視線を戻したその先、移った酒の色は不思議と瓶の中のものより甘そうに見えた。


「…誰が、」


頭の中で巡る言葉の断片を口に出して拒否の意思表示。
ついでに目線もまた、逸らしておく。

「…気に入らねぇな」

言いながらグラスを、傾ける音。
全く、何時まで飲んでいるつもりなんだろう。
いつかのようにそのまま泊まる、なんて事はもう二度と御免だというのに。



―彼が立ち上がる気配がして振り向く。



それから、束縛と。



流れ込む液体に噎(む)せそうになる。
しかし離してはくれないらしい。

苦しさに目を堅く瞑り、口移しで与えられたものが喉を通るのを感じながら思う、



―ああ、やはり苦い。



「―…ハァッ、げほっ」
「オラ、もっと飲めよ」

まだ苦しいというのに顎を掴まれ口を無理やり開かされ、グラスの残りの酒を注がれる。

―…妙に楽しげな男の表情が癪(しゃく)に障る

こちらが最後まで飲み込むのを確認して漸(ようや)く掌が離れた。
苦さと苦しさに噎せ返り、体を丸めて咳をする僕の傍らで ことん、とグラスが置かれる音がする。

なんとか落ち着きを取り戻すと、恨めしげに相手を睨んだ。

「……ア、リー…」
「おー、エロいエロい」

以前愉快犯の笑みでそんな戯言を返して来た。
何が、だ。何処が。

まるで今の疑問に答えるかの様にアリーは続ける。

「涙目でハアハア言うなって」
「っ、ふざけるな…!」

掴み掛かろうと上体を起こすと、視界が揺れた。
…くらくらする。

「ンだよ、酒は駄目か?」

呆れを含んだ言い方にまた腹が立つ。未成年だという時点で駄目だと、何度言ったら。

座り込んだ僕に合わせる様にアリーもしゃがむ。

溜め息ひとつ、その後に抱き上げられ。

「…!、離っ…」
「は、馬鹿野郎」

どっちが、と言いたいが喋る気力も起きない。

くらくらする。
頭痛と熱さと眠気と、

…ああ、苛々する




気分は最悪、眠りにつくまでの数分間
朦朧(もうろう)とする意識の中で彼の声が聞こえる。


「ティエリア」


ぎし...


ベッドの…軋む音、

覆い被さるようにして身体の距離を0に縮めたアリーが耳元で、酒臭い吐息と共に僕を呼ぶ。


「ティエリア…」


ああ、全くなんというか、





いやらしい…―――






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ