すばらしきこのせかい

□ポッキー
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 ポッキーゲームとは、ポッキーを両端から二人でかじっていくアレのことである。
 ヨシュアは、その要領で渡すのが常識だと締めくくった。

「そんな常識聞いたことないぞ!絶対嘘だろ!!」
「あれ?ネク君って頭が固い上に自分至上主義なのかい?」
「なんだよそれ!」
「自分の知らないことは常識ではないって言ってるんだよね?意外と傲慢な性格だなあ。」
「そんなこと言ってないっ!お前が嘘をついてるって言ってるんだ!」
「そんな事言うのかい?悲しいな。僕は君とこれからも仲良くしたいから、こういうイベント事をちゃんとやっておきたいだけなのに。」
 口は笑みの形のままなのに、よよと泣き崩れる風を演じるヨシュア。
「バレンタインの友チョコは渡したからな。イベントは終了だ!」
 これ以上振り回されるのはごめんだ、とネクはそう言った。
 すると、ヨシュアはまた「あれ?」と言う。
「僕、貰ってないよ?」
 ハッとして下を見ると、さっきのポッキーは自分の手の中にある。
「お、お前が返してよこしたんだろ!?」
「じゃあ、もう一度頂戴?」
 ん、とネクは差し出した。
 ヨシュアは手を出さない。
「やるから受け取れよ。」
「ちゃんと渡してくれないと、受け取れないな。僕も君と同じで、常識を重んじることにしたんだ。」
「お前っ!」
「ほら、早く。」
 目を細め、軽く口を突きだして見せる。
 ネクは視線を逸らして箱の開け口に指を引っ掛けた。
「…一本だけだぞ…。」
「…まあ、仕方ないか。それで許してあげるよ。」
 何でいつもそんな上から目線なんだよ、とブツブツ文句を言いながら、ネクはポッキーを一本出した。
 顔を赤らめつつ、咥える。
「ん。」
 思いっきり目線は横を向き、ヨシュアの方に顔を突き出した。
 するとパッとポッキーを引き抜かれ、次の瞬間にはヨシュアに抱き寄せられ、キスをされていた。
「!?」
 あまりの事に頭の中はパニック状態。
 それでも逃れようと、ネクは声を出す。
「んー!!」
「どうかしたかい?ネク君。」
 抱き寄せたまま、ヨシュアは唇を解放した。
「どうかしたじゃないだろ!?何でこう…その…キ…キスを…。ポッキーゲームは!?」
「だって、どうせキスすることになるんだから、面倒でしょ?」
「それが目的かよ!!」
「それ以外に何があるって言うのかな。」
 そう言ってヨシュアはまたネクの唇を塞いだ。













…あれだよね、ヨシュアはバレンタイン関係なくキスしようと思えばできるんだけど、やっぱりネク君をからかってからやるのが趣味なんだよね。
byつきしろ


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