その他

□SDガンダムフルカラー劇場
1ページ/1ページ


(仲良しGP3兄弟・クリスマス)



ズドーン!!!


何の前触れもなく、GP−01の家は“ちょっとスゴイ熱光線”の直撃を受けて吹っ飛んだ。
吹っ飛ばした張本人は崩れた壁の瓦礫に足を掛ける。

「だから…ステイメンを迎えに寄越すなって言っただろう。」

そう言ったGP−02の後ろで、ステイメンは崩れた家を見ておどおどしている。
壁と一緒に吹っ飛ばされたGP−01は上体を起こしながら、GP−02を見上げた。

「…遅かったな。ケホッ」

「来てやったんだ。有り難く思え。」

「わあ、有り難い、有り難いv」

「……」

GP−01の言葉に、GP−02は拳を震わせる。
しかし、ステイメンになだめられて怒りを押さえた。
そんなことは全く気にせず、GP−01はうんしょと立ち上がる。

「さてと、集まったところで早速だけど、ステイメンお使い頼むな。」

「はーい。じゃあ行ってきまーす。」

GP−01に言われて、ステイメンは荷物を持って外に出た。
それを見送るGP−01。

「気をつけろよ〜。」

GP−01は、ステイメンの背中が見えなくなるまで手を振って、GP−02に向き直った。
それを見て、GP−02が問う。

「で、呼び出しておいて何の用だ。」

GP−02の言葉に、GP−01は真剣な顔つきで、静かにコクンと頷いた。

「実は…お前に頼みがあるんだ…。」

――大事な話か…?

GP−02は、GP−01の態度に少し緊張する。
GP−01は、近くにあった袋を探りながら言葉を続けた。

「今日、お前に…」

そして、袋から出した物をGP−02に突き付ける。

「これを着てほしいんだ!!」

「…ト、トナカイ…?」

GP−01が出した物はトナカイの着ぐるみだった。
それを見て硬直するGP−02には構わず、GP−01は説明を始める。

「今日はクリスマス!どこの家でもツリーを飾ってケーキを食べるのに、うちだけそのイベントを楽しまないなんて勿体ない!せっかくだからパーティーを開いて、親交を深めようじゃないか!というわけで、兄であるオレたちが場の雰囲気を盛り上げるために、サンタとトナカイの服を着てだな――」

「待て。なんでオレがトナカイを着なきゃならないんだ?」

GP−01の長い説明をGP−02が遮った。
それに笑顔で答える01。

「なんでってサンタさんはトナカイが連れてくるものだぞ?」

「じゃあお前が着ればいいだろ。」

「オレはサンタ服を着るんだって。」

「…嫌なことを人に押しつけるな。」

GP−02が最後にそう言うと、GP−01の顔から笑みが消え、少し俯いた。

「GP−02…オレは、お前なら、嫌なことでも引き受けてくれると思ったんだ……失望したぞ!ステイメンなら嫌なことだってきっと引き受けてくれるぞ!?」

GP−01の言葉に黙り込むGP−02。
少しの沈黙が流れた。

「…って、それ以前に嫌なことを人に押しつけるお前の方が問題だろ!!」

「フッフッフッ…聞こえないv」

またGP−01は満面の笑みを浮かべる。
GP−02をいじるのが楽しくてたまらない、といった感じだ。
GP−02はというと、よっぽどトナカイ服を着るのが嫌なようで、必死に異を唱えている。

「か、考えてもみろ?ステイメンなら、まだ子供だし、かわいいから、トナカイを着てても変じゃない。仮にお前が着たとしても、普段ふざけてるところがあるしいつもヘラヘラ笑ってるような奴だからまだ分かる。」

「なっ、ふざけてるって…てかいっつもヘラヘラ笑ってるわけじゃ…!!」

「でもオレみたいな…!やたらガタイでかくて夢に出そうなツラしてて、クマみたいなヤツがトナカイなんて着たらミスマッチにも程があるだろう!?」

勢い込んで自分の考えを伝えるGP−02。…それでいいのか?サイサリス。
まあ、そんなGP−02であったが、GP−01はあっさりとこう答えた。

「そこが狙いだ。」

数秒の沈黙。

「……………なっ、」

「知らないのか?今の時代ギャップが流行りなんだぞ。」

GP−02が反論しかけたところをすかさず笑顔で遮るGP−01。
だが、GP−02もそんなことでは諦めない。

「そんなもの狙うなあっ!」

「そんなこと言ったって…サンタ服だってミスマッチには変わりないぞ?」

「ぅ…そりゃ、そうだけど…」

「どうせミスマッチなら、中途半端にしないで思いっきりミスマッチの方が笑いがとれると…」

「いずれにしろミスマッチならオレはどっちも着ない。」

「……」

「……」

再び二人の間に沈黙がおりる。
GP−01は少し俯いて黙り込んでいたが、しばらくして顔を上げるとGP−02の目を真っ直ぐ見て言った。

「GP−02…オレはお前に、弟のために何か出来るやつになって欲しい。分かってくれるか?」

GP−02はその言葉に答えるでもなく、ただその目を見返していた。





ステイメンは、注文していたクリスマスケーキを大事に抱えて、家に向かっていた。
ステイメンも今日初めて聞いたのだが、GP−01は兄弟でクリスマスパーティーをしようとしているらしい。
もちろんステイメンは、楽しみにしているのだが、少し心配している事があった。
それはGP−02の事だ。
正直に言うと、ステイメンは、GP−02が素直にパーティーに参加してくれるとは思えなかった。
元々無愛想な彼のことだ。「くだらない。」の一言で一掃してしまいそうな気がする。
しかもパーティーに誘うのがGP−02の大嫌いなGP−01では、望みがない。
そんなことを考えているうちに、ステイメンはもう家の前まで来ていた。
もしかしたらもうGP−02は帰ってしまったのではないかと不安に思いながら、ステイメンは家のドアを開けた。

「ただいまー。」

すると、やたら機嫌のいいGP−01がGP−02の腕を引っ張って部屋から飛び出して来た。

「おっかえりーっ。」

「…ぅわあ…///」

ステイメンは飛び出して来た二人の格好を見て、パッと顔を輝かせた。
GP−01はサンタクロース、GP−02はトナカイの服を着ていたのだ。
GP−01がニヤニヤ笑いながら、得意気に聞いてくる。

「どうだ〜ステイメン。驚いたか?」

「う、うん。」

絶対に乗り気じゃないと思っていたGP−02がトナカイの服を着ているのだ。
驚かないわけがない。
しかし、GP−02の顔はやはり不機嫌だった。

「おい、結局オレにコレ着せて楽しんでるのはお前じゃないかっ。」

「そんなことないぞー?ステイメンだってちゃあんと喜んでるぞ?なあステイメン。」

「え、えっと…」

「困ってるじゃないか!」

また二人が喧嘩を始めた。
まあ、この二人が喧嘩をしないなんて無理な話なのだろう、と、ステイメンは既に納得してしまっている。

――それにしても…

と、ステイメンは考える。

――なんで02お兄ちゃんはトナカイの服を着たんだろう?

彼なら断固拒否しそうなのに。
そこまで考えてから、ステイメンは思った。

――そうか。それ以上に01お兄ちゃんは人を丸め込むのが上手なんだな。


それから、ステイメンは大人気ない兄二人と楽しいクリスマスを過ごした。


fin






頑張れば25日にup出来たのに、頑張らなかったので結局クリスマスに間に合わなかったクリスマス小説です。
でもいいよね?
だってフルカラー劇場の小説なんて誰も読まないんだから。(ぇ

結珈


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ