ガンダムSEED,DESTINY
□Sheep that fears loss
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(BL・オルシャニ・シリアス・啼様リク)
Sheep that fears loss
3人の待機室。
パラ、と本をめくる音
シャカシャカとイヤホンから漏れる音楽
そしてゲームの音
いつも通りのようで、いつもとは違った。
「──っあぁっもう!!」
いらついたクロトの声。どうやらさっきからゲームをクリア出来ないらしく、たまにこうして声を上げる。
そしてもう一人、いつもとは違うのは。
「………。」
不機嫌な色を漂わせている、シャニ。
しかしオルガもクロトも全くそれには気付いていない。それぞれのことに集中している。
ピコピコ…
ドォン!
パンパンパン…
突然、シャニが立ち上がり、手の中のプレイヤーを近くのスピーカーにつなぎ始める。
しかし、それにも気がつかない2人。
ピ、という小さな音と共に、とんでもない音量がスピーカーから飛び出した。
何事かとそちらを向く。
音源の横ではシャニが涼しい顔をして座っていた。
スピーカーのボリュームは最大。しかもノイズ系音楽。
「なにしてんだよシャニ!うるさい!!」
クロトが叫ぶ。
「うるさいのはクロトでしょ。もっと静かにやれないわけ?」
「お前の方がうるさいだろ!」
「クロトがうるさいからこっちにつないだんだって」
言い合いが始まってしまい、オルガは面倒くさそうに本を閉じた。
「シャニはやり過ぎだ。取り敢えず電源切れ」
「……はぁ?」
「はぁ?じゃねぇ、切れ。」
仕方なく、スイッチを切るシャニ。オルガはつづけてクロトに言う。
「うるさくするなら自分の部屋でやりゃいいだろ」
「あーもー分かったよ!」
めんどくさいなぁ、という言葉をおいて、クロトが出ていった。
シャニはもう音楽を聴いていなかった。ただ何もせず床に座り込んでいる。
オルガはそんなシャニを少し気にしつつも、また文字の海へと入っていった。