ガンダムSEED,DESTINY

□おにこごめ
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(アスランとキラ/谷山浩子さんの「鬼こごめ」に乗せて/暗いです、とことん^^;)







 あの頃の僕達は

 こんな日が来ることなんて

 思いもしなかったね



思い出せない 貴方の顔を
目の前にいるのになぜ
思い出せない あの頃どんな
夢を語っていたのか
思い出せない 月が隠れて
むごい雨が 骨を削る
もう愛せない もう愛せない
優しいツノ(知識)が見えない





 月の幼年学校で知り合った僕達は、すぐに親友と呼べる仲になった。
 アスランは機械を弄るのが好きで、僕にいろんなものを見せてくれた。
 僕はアスランの手が好きだった。
 どんなものでも作ってしまえるんじゃないかと思っていた。
 僕もアスランのように、何でも作れるようになりたかった。

「お前は賢いのに、なんか抜けてるんだよな。」
「え〜? でも、これで合ってる筈だよ?」
 僕が作りかけていた簡単なロボットを見て、アスランは溜め息を吐いた。
 僕にしてみればこの回路でどうして動かないのかが分からない。
「確かに昨日習ったところではここを繋いでいたけど、お前の作ろうとしてるのは根本的な作りが違うだろ?どうしてそれを繋ごうとするかな…。」
 それを繋いだせいで、折角の僕のアイデアが死んでいるんだとアスランは言った。
 見かねて手を貸してくれたおかげで、そのロボットはすぐに動くようになった。
「すごい!やっぱりアスランは天才だね。」
「お前…思いつきはいいんだけどな〜。」
 困ったような顔でアスランは笑った。



むごい雨が
骨を削る




 戦争が、僕達を変えてしまったんだね。


「戦争なんて起こらないよ。お前もプラントに来るだろ? またすぐに会える。きっと会おう。」
 そう言ってアスランはトリィをくれた。
 そんなアスランの優しい知識が好きだった。


 きっと会おう。



むごい雨が
骨を削る





「アスラン…。」

「キラ…。」

 女の人が撃たれて撃ち返して、更に敵はナイフを持って駆け寄ってきた。
 目の前の死闘に恐れおののいていた僕は、その敵の顔が見えた時、一瞬我を忘れた。
 違う、現状を忘れた。

 優しいアスラン。
 誰にでも優しい筈のアスランが…。
 人を殺そうとしている…。

 信じたくない光景に、僕の思考は止まった。





 そのまま成り行きで僕はパイロットになってしまって…
 つまり、
 君の敵になったんだね。









知らない人が 話し掛けてる
私の腕を掴んだ
冷たい指が 皮膚を破って
血の中に入ってくる
私の声が もう届かない
瞳の中 誰もいない
もう愛せない もう愛せない
優しいツノ(知識)が見えない






「お前はコーディネイターだろう!? そっちに居るべきじゃないんだ!!」
「あそこには僕の友達がいる!それを捨てろって言うの!?」
「お前はコーディネイターだ!!」

 何度言っても僕の声は届かなかった。
 僕がいなければ友達が死んでしまう。
 それなのに、君はそれを見捨てろと言ったんだ。


 何度も戦った。
 殺したくなんかない。
 それなのに、そうするしかなかった。



むごい雨が
骨を削る




 そして、

 僕は…君の仲間を…多分友達を…殺してしまったね。

 君は誰とでもうまく付き合える人だから、きっとあのパイロットとも仲良くやっていたんだろう。
 その人を、
 殺したんだ。




 そして、

 君も、僕の友達を…トールを…殺してしまった。



 もう


 もう



 …アスラン

 僕達は、終わりだね。





微笑まないで
傍に来ないで
貴方じゃない
貴方じゃない
貴方がいない
何処にもいない
優しいツノ(知識)が見えない







 僕達は

 互いを殺し合うしかなかった。



















すみません、暗いです。
byつきしろ



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