ガンダム00
□Χριστοs
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(パラレル/仔ライルと仔ニール/クリスマスフリー)
Χριστος
街はクリスマス一色。子供達はプレゼントのことで頭がいっぱいだ。
双子も例に漏れず、ウキウキとしていた。
「それでライルは自転車でいいのね?」
「うん、この前見た奴だよ?」
母親に訊ねられ、ライルは興奮気味に頬を紅潮させて言った。
「…ニールは…ホントにあれでいいの?」
ライルはあれ?とニールの顔を見た。
この間までニールも同じ自転車が欲しいと言っていた筈だ。
「うん!あれが良いんだ。」
少しはにかむような表情で頬を染めるニール。
ライルは首を傾げた。
「二―ル、自転車じゃないのか?」
「え…、う、うん。」
ライルには知られたくなかったのか、ニールはさらに顔を赤くして視線を落とす。
「…何頼んだんだ?」
「…え…っと…、うん、ちょっと。」
「教えてくれたっていいだろ?どうせ分かるんだし。」
ライルの追及に窮したようにニールは唇を尖らせた。
「どうせ分かるんだったら、…今教えなくてもいいだろ?」
「何だよ。ケチだな、ニール。」
何を言っても教えてはくれない様子に、ライルは聞きだすのを諦めた。
そしてクリスマスの朝。
昨晩お預けを食らってなかなか寝付けなかった子供たちも、この日は早起きだ。
おはようの挨拶もそこそこに、プレゼントの所に飛んでいく。
「開けていい!?開けていい!?」
妹のエイミーは自分宛の箱を見つけると、まるで取られまいとしているように抱えて興奮してそう訊いた。
「いいわよ?」
母親のOKサインに皆声を上げ包みを開け始める。
自転車を頼んであったライルは、ハンドルの所についているリボンを外して外に持って行こうとしたところで動きを止めた。
振り向くとニールは床に座り込んで大きめの箱を開け始めていた。
ライルは自分の自転車を眺めるふりをして、ちらちらとニールを見る。
箱から出てきたのはバスケットボールぐらいの球体の玩具だった。
まずエイミーが興味津々で覗き込んだ。
「それなに〜?お兄ちゃん。」
「ん?ロボット。ハロっていうんだ。」
「ロボット!?動くの!?」
「うん。動くし、喋るよ?」
「喋るの!?見せて!喋らせてみて!」
嬉しそうにニールは説明書をめくっている。
「なーんだ。玩具頼んだのか。…ガキっぽ。」
からかう様にそう言われると途端にニールは怒ったような拗ねたような顔になり、立っているライルを見上げた。
「いいだろ。…だから言うの嫌だったんだ。」
「ふ〜ん?一緒に自転車買って貰おうって言ってたのに。そんな玩具にするとはね〜。」
「欲しかったんだからいいじゃないか。自転車は誕生日に頼むんだ。」
「いいけど〜? 俺は外に遊びに行ってこよーっと。」
「どうぞ。いってらっしゃい。」
呆気なく送り出されてしまい、ライルはムッとした顔で自転車を押して外に出た。
一緒に自転車を買って貰って、一緒に走り回るんだとばかり思っていたのに。
それに、あの時に言ってくれれば自分も何か別のものを頼んだかもしれないのに。
友達に自転車を見せびらかそうかと思っていたがそれはやめておいた。
もう、そんな気分ではなかった。