ガンダム00
□誕生日
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(アリニル+ティエライ/ディランディ兄弟誕生日祝)
誕生日は毎年、友達を招いてパーティーをするのが習慣だった。
特にどちらから提案するわけでもなかったが、友達が祝ってくれるという話になると、自分には双子の兄弟がいるからどうせならうちでやろう、とニールもライルも皆を家に呼んでいた。
社会人になってからも、メンバーは違えど同じようにパーティーをしていたのだ。
しかし、今年は…。
「なぁ…ライル?」
おずおずと声を掛けたニールに、なんだろう、と顔を向けて返事を返す。
「ん?」
「誕生日のことなんだけどさぁ…。」
ライルはハッと思いだして、苦笑いをした。
「あ〜、わりぃ、今年は用事できちまってさ。」
頭を掻くライルにニールはホッとしたような顔を見せた。
「何だ。お前もか。」
「え?兄さんもなんかあんのか?」
「ああ、実は誘った奴に断られてさ、逆に付き合えって…ほぼ強引に約束させられちまったから…。」
ニールも頭を掻いて苦笑いする。
アハハ、とライルは笑っておいて、「オレもそんな感じ。」と肩を竦める。
「じゃあ問題ないな。」
「ああ、もう子供じゃないんだし、お誕生日会ってのもアレだよな。」
少し寂しい気はしたが、今年は別々に過ごすことになった。
そして誕生日。
夕方になってから二人は出掛けた。
じゃあ、と玄関先で別れる。
ニールが待ち合わせしているのは恋人のアリーだった。
渡された地図を頼りに待ち合わせ場所に向かった。
なぜだか車は使うなと言われていたから、電車を乗り継いで、後は徒歩。
着いてみるとそこは高級そうなレストラン。
そう言えばちゃんとスーツを着て来いだの身だしなみがどうだの、普段はこっちが注意するようなことをうるさく言われたと思い出す。
一応誕生日の事を考えて誘ってくれたのか。
毎年のどんちゃん騒ぎはなくても祝ってくれる恋人がいるなら言う事はない。
ライルには悪いけど。
そう思いながら店の外の階段を上がっていると、後ろから声を掛けられた。
「兄さん!?」
振り返ればそこには弟が。
「ライル!?」
暫し二人で立ち尽くす。
「何でここに?…ここで待ち合わせか?」
「お、おう。お前も?」
「ん。…偶然…だよなぁ…?」
「…だよな、多分。…お前の待ち合わせ相手を知らないから何とも言えないけど…。」
「…偶然だな、うん。」
ライルが少し考える風にしてからそう結論付けると、二人は苦笑してまた階段を上りだす。
店のドアを開けると、待ち構えていた様に店員が寄って来た。
「ディランディ様ですね? お連れの方がお待ちです。こちらへどうぞ。」
そう言われて顔を見合せ、慌ててニールが店員に訊ねる。
「あの…どっち、ですか?」
親指で自分たちを指し示した。
すると店員は笑顔で返す。
「ディランディ様で間違いございませんよね?お二方とも。」
「…そうだけど…。」
「なら問題ございません。どうぞ。」
「いや、…その…。」
待ち合わせ相手が別なんだけど、と言いかけて口ごもってしまった。
店員の後ろを歩きながらひそひそと話す。
「…店員…俺達一緒の顔してるから、連れだって思い込んでるよな…。」
「ん。…まあ、行けばどっちか分かるんだからいいんじゃないか?」