ガンダム00

□砂塵の舞う夜
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(アリーとソラン、ほのぼの?)





 その日は風が音を立てるほど吹いていた。
 砂嵐が来るのだと大人たちは言って、子供たちを建物の奥の一室に集めた。
 アリー以外の大人は砂嵐に備えるためか、用事があるらしく、すぐにどこかに行ってしまった。

 そんな中でも子供は無邪気だ。
 夜遅くなり、寝ようという段になってから一人の子供が怪談を話し始めた。
 何処にでも幽霊の話はあるものだ。
 戦争で片足を失くした兵士の霊が自分の足を探して彷徨っていたり、火だるまになった赤ん坊を抱いたままの母親の霊だったり…。
 よく聞く話はもう慣れっこで、ソランは特に気にすることなく聞いていた。
「なあ、ソラン。聞いたことあるだろ?砂男の話。」
「ああ、知ってる。」
 砂男は体が砂でできていて、こんな風の強い日に出てくるのだという。
「そいつに触られると砂の中に引きずり込まれるんだってさ。」
 近づいたが最後、引きずり込まれて砂の中を何処までも落ちて行くらしい。
 怖がって聞いている子供もいたが、ソランにとってその話は非現実的で少しも怖いとは思わなかった。

 その様子を部屋の端で壁にもたれて眺めていたアリーは、微かに口角を上げて声を掛けた。
「じゃあ、こんな話は知ってるか?」
 皆が一斉にアリーの方を向く。
「砂嵐の夜に、子供だけで寝てると出てくる幽霊の話だ。」
 皆ぶんぶんと首を横に振った。
「夜中に目を覚ました奴は喰われちまうんだ。で、その幽霊はその子供の姿になる。次にその隣で寝ている奴を起こして食べる。そしてまた次を起こして…朝になる頃には皆喰われちまってるって話。」
 しんとなって聞いている子供に、アリーは床を指さして寝るように言った。
 アリーの言いつけに素直な子供達は皆それぞれ静かに体を横たえた。
 それを見てアリーは立ち上がった。
 出て行こうとするのに気付いたソランは駆け寄って服の裾を引いた。

「…どこか…行くのか?嵐だぞ。危ない。」
「大人はいろいろとやることがあんだよ。」
 煩そうにされても尚、ソランはしっかりと裾を掴んだままだ。
「…他の人がやってくれてるんだろ?アリーが行かなくてもいいと思う。リーダーなんだし…。」
 アリーはニィっと笑った。
「そうか、お前、怖いんだろ。さっきの話。」
 言い当てられて、ソランは慌てた。
「ち、違う。今から出かけるのは危ないと思って…。」
「そーかぁ? じゃ、その手は何だよ。」
 ぎゅっと裾を掴む手を示されて、慌てて放す。
「こ、怖くない。」
「んじゃ寝てろ。もうガキは寝る時間だ。」
 渋々、ソランも皆の中に混じって寝転がった。



 最初こそ怖いと思ったものの、ソランも他の子供達も睡魔に負け、皆眠りに落ちて行った。
 そして真夜中過ぎ。






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