ガンダム00
□映し鏡ではなく
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(フェルト一人語り/ライルとフェルト)
ライルが私にキスをして、私が彼を叩いて、そして、それから口を聞いていない。
最初はロックオンが帰ってきたのだと、彼が生きていたのだと、驚きと喜びに私の胸は熱くなった。
すぐに別人だと分かったけど、それでも私は彼から目が離せなかった。
ロックオンと同じ顔。
ロックオンと同じ声。
ロックオンが私に優しく声を掛けてくれたように、彼も優しくしてくれるだろうか。
どうやって話し掛けよう。
前のロックオンは、みんなのお兄さんみたいで、こちらが困っていると気にかけてくれた。
彼から話し掛けてくれないだろうか。
そんな風に思っていた。
ひっぱたいて部屋に帰って、いろいろ考えて、やっと私は間違いに気づいた。
彼はロックオンじゃない。
分かっていたはずの事を、私は分かっていなかったのだと。
考えてみれば前のロックオンにも彼にも失礼な話だ。
二人は別人で、性格が全然違ったっておかしくないのにそれを同一視するなんて。
もう数日が経ってしまったけど、今からでも謝ろう。
そうすることで、私の中でもけじめがつくだろうから。