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□嫉妬深い王子様
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佐藤視点。R18注意。





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ある日の昼下がり。
忙しさのピーク時間が過ぎたワグナリア。
フロアには優と小鳥遊が皿拭きをしながら、お喋りしている姿が見える。




「へぇ!子犬が生まれたんですかぁ!」

「そうなの!柴の生まれたてはまだ耳が立ってないんだよ〜。きっと小鳥遊くん、見たらデレデレだよ」

「あぁぁ…!想像しただけで可愛い!今度観月さん家に見に行っていいですか!?」

「おいでよ、是非!」




嫌でもキッチンからカウンター越しに見えてしまう、仲の良い二人の姿。

同じホール仲間といえ、あいつらいつも一緒にいないか?
優も優だ。
俺と付き合ってる事は皆に隠しておきながら、小鳥遊とは友達以上に仲良くやってる気がする…のは俺の気のせいなのか?

はぁー…なんだ、このイライラ…。








「あ、潤。お疲れー。もう今日は上がり?」

仕事を終え更衣室に向かう途中、優が休憩室でお菓子を食べているところに出くわす。
俺が通りかかると彼女はいつもの笑顔でそう話しかけてきた。

「あぁ」

と軽く返事をすると、優はテテテ、と俺に寄ってきて手に持っていたポッキーを俺の口の前に持ってくる。

「はい、あーん」

「…いらねぇ」

彼女を避けるように通りすぎ、更衣室のドアノブに手をかける。

「潤、何かあったの?元気ないよ?」

その原因がまさか自分にあるとは知らず、不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる優。
その鈍感な性格にさらにイラッとした俺は、彼女の腕を引っ張り、更衣室のドアを開け、中に引きずり込んだ。







「きゃ…っ、ちょっと潤、ここ男子更衣室…!」

「黙ってろ」

更衣室から出ようとする優の腕を押さえ、無理やりキスをする。

「ん…っ」

嫌がる彼女の口の中に無理やり舌を入れる。
その間にも優は俺から離れようと俺の胸の中で暴れる。
そうされればされるほど、彼女を離したくない衝動にかられ、口付けは荒々しくなる一方だ。

「はぁ…っ、んぅ…」







しばらくすると優は観念したのか、抵抗しようとしなくなった。唇を離すと彼女は潤んだ瞳で問いただす。

「なんでこんな事するの…?」

「……」

「言ってくんなきゃわかんないよ!」

ほんと鈍感だ。








「他の男に、ほいほい笑顔を見せんな」

「え…?」

優の笑顔を見るのは俺だけでいい。
他のやつらなんかに見せたくない。

「…あの、それはつまり…ジェラシー?」

「…っ!」

核心をつかれた俺は、恥ずかしさを隠すように、また彼女の唇をうばい口付けを交わす。
結局、優をその場に押し倒してしまう結果になった。









「潤、ダメ…っ、こんなとこで…っ」

「ここじゃなきゃいいのか?」

「そういうことじゃなくて…誰か入ってきたら…っ、ひゃあ…っ」

優の背中から覆い被さるように、俺は激しく腰を揺らした。

「…んんっ…あぁぁ…!なんか…潤、今日はいつもと…っ!!ぁぁ…っ」

ずっ…くちゅ…ずちゅ…

俺と彼女を結びつけるその部分が、怪しい音を立てる。
俺の腰が優を激しく突き上げる。
二人が口を交わせば舌が絡み合う。

んちゅ…くちゅ…

生々しい音が部屋中に響き渡る。








「じゅ…ん…っ、ダメぇッ…、誰か…来ちゃうよぉ…っ!んぁ…っ」

「興奮するだろ?」

「馬鹿ぁッ…!!」

「そんな事言ってるが、いつもより締まりはいいみたい…だぞ?」

「そっ、そんなことないもん…!んぁあ!!」

今以上に俺は優の最奥に自分自身を激しくぶつける。
その刺激に優の体が反応する。

「そんなに締めるな…すぐイっちまうだろ…っ」

「だ、だって…潤が…っ潤がぁ…!」







肉と肉のぶつかる音が、やけに生々しく部屋に響く。

「…あぁぁ!!やめ…っ」

「小鳥遊なんかと仲良くした罰だ…お前がイってもやめてやんない…」

「そ…んな…っ。も、もう私…!」

耳にキスすると、優がびくん、と体を震わせた。

ぐちゅ…ちゅ…っ

「も…だめ…っ」

優が俺をさらに強く締め付けた。







「お前をもっといじめたくなる…、どんどん意地悪したくなる…。」

「そんなことばっか…言っ…て…、ほんと…意地悪…!」

どくっ どくんッ

「お前は…っ、俺だけのもんだ…っ」

真っ白な感覚が俺らを襲った。









「もぉぉ!潤の馬鹿!!ホントに誰か入ってきたらどうするつもりだったのよ〜!」

服を着ながらヤっていたものの、服の乱れを直しながら優がプリプリ怒っている。
そんな姿を見ながら、やっぱり可愛いな、と思ってしまうわけだが、今それを言うと余計に怒られそうだ。

「別に俺は見られても構わない」

「……ッ!!じ、潤のスケベ!変態!」

顔を真っ赤にしながら男子更衣室から去っていったのだった。







優のことを想うと余裕がなくなる。
いきなり押し倒してしまったことだって、誰かに見られたら、なんて考える余裕がなかっただけだ。
それくらい、あいつに惚れすぎた。






明日、あいつの好きなオムライスでも作って、ご機嫌をとろう。







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