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□届かぬ想い
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佐藤視点。
R18、悲恋注意。
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「本当にいいのか?」
「いいの…。佐藤くん、お願い。博臣のこと、忘れさせて。」
「……やめろと途中に言われても、俺は止められる自信はねぇぞ」
優はコクンと頷いた。
俺達はホテルの一室にいた。
なぜこんな事になったんだろう。
「ん…ッ、だめぇッ」
ぐちゅぐちゅと優の秘穴を指で掻き回すと、彼女はときおり腰を浮かせ、声を漏らす。
足をM字に開かせると、俺は顔を埋めた。
垂れてくる蜜を丁寧に舐め上げ、中まで舌を挿入し、抜き差しを始める。
「く…ッ、ふ…っ」
「声、抑えようとすんな」
「だ、だって…ッ、博臣は声出されるのあんまり好きじゃない、って…」
「……俺は相馬じゃない…!」
「ご、ごめ…なさ…」
優は涙を浮かべていた。
そうして秘穴の上にある赤く腫れた突起を攻め、優は当然のように息が上がっていた。
「は、あッ、んああっ…!」
しばらくそうしていると、彼女は簡単に絶頂を迎えてしまった。
「…良かったか?」
顔を赤らめたまま、小さく頷いた優。
俺は、果てた彼女をぎゅっと抱き締める。
こんなに素直で。
こんなに可愛くて。
こんなにいとおしい。
なのに。
なぜこんな彼女を傷つけ、自分から遠ざけたのか。
相馬の気持ちが全くわからなかった。
今から一時間ほど前。
バイト上がりだった。
優と上がり時間が被った俺は、彼女を車に乗せ、送ってやることにした。
すると驚いたことに、車の中で涙を流し始めたのだ。
俺は何も言わなかった。
彼女が泣きたいだけ泣かせたかった。
俺が何も聞いてこないことに安心したのか、優は声を殺し、必死に泣いた。
彼女が泣き止むのを待つため、俺は公園に車をつけた。
車を降り、自販機で優の好きなジュースを買った。車に戻り、それを手渡した。
「ありがとう…佐藤くん」
「平気か?」
「…何にも、聞かないんだね」
「……」
「それが佐藤くんの優しさだもんね」
泣きはらした優の目は、真っ赤に充血している。
「私ね、博臣に振られたの。」
信じられなかった。
あんなにお似合いで。仲が良かったのに。
今日だってバイト中は二人とも普通だったじゃないか。
「一人の女を愛し続けられないんだ…って…。わかってたの、初めから…。それでも博臣が好きだったから、そんな博臣と付き合い始めた。」
俺は、優と相馬が付き合い始めの頃から、彼女に想いを寄せていた。
相馬の前だとこんな嬉しそうな顔をするのか、と胸が痛む日もあった。
なぜ相馬なんだろう。
なぜ俺じゃないんだろう。
「…博臣と付き合って一年経つの。一年も一緒だったから…彼の気持ちはもう私のものだ、なんて慢心になってたのよ。」
優がそう言い終わる頃、彼女の目にはまた涙が溢れていた。
「…佐藤くん、お願いがあるの…」
「?」
「…忘れさせてほしいの。」
「…な、何を…」
「佐藤くん、私の事、好きだったんでしょう?」
「…!」
「…私を抱いて。」
「ふざけるな」
「ふざけてなんかない…!佐藤くんだからお願いしてるの…」
真っ直ぐに見つめる彼女の瞳は、嘘なんかついていなかった。
「やけをおこすな」
「…お願い…、これ以上…、私に辛い思いをさせないで…」
「優…」
「佐藤くんに、忘れさせてほしいの。」
そうして今、
俺の腕の中には優がいる。
相馬じゃない。
俺を、感じてくれ。
「あ…、ん…!」
ねじ込むように進入して行くと優の内壁が俺自身を包んで行く。
ぐちゅ、ぐちゅ、といやらしい音を立てながら、彼女の蕾は俺を離すまいと締め付けてくる。
その快楽に慣らす様に俺はゆっくりと身体を揺らした。
俺と彼女が触れ合っている部分から甘い快感が生まれる。
「あ、んぁ、あぁっ」
優が、俺がもたらす確実な質量と快感に、支配されてゆく。
溢れてくる。
甘い快楽と、想いが。そして欲が。
どんどん溢れてくる。
優の心も支配したい、と俺の欲が溢れてくる。
俺の腰の動きに応える様に優も腰を揺らした。
腰を揺らしながらも、彼女の白い肌に舌を這わせる。
優が甘く啼く。
「…可愛い声だな…もっと鳴け…よ」
俺が唇を寄せると、彼女はこちらを向いてキスをした。
どちらともなく舌を差し出し、絡め合う。
「お前の全部…俺に見せてみろよ…」
相馬も知らないような、そんなお前を見せてくれ。
「…ッ、わ、わた…し…!」
「そんなに締めると…ッ」
「いやぁ…もぉ…だ…め…ッ」
優が一層、激しい嬌声を上げると、俺もあまりの締め付けで快感に眉を寄せた。
「…俺…が、忘れさせてやる…」
彼女の最奥で、ずぷずぷと激しく腰を動かし、快感の渦へと落としていく。
彼女が身体を反らして高い声を上げた瞬間、俺は優の腹に自分の欲を吐き、果てた。
泣き疲れたのと、動き疲れたので、優はぐっすり眠っていた。
シャワーを浴びた俺はタバコに手を伸ばし火をつけた。
「ひろ…おみ…」
「…!」
彼女はどんな夢を見ているのだろう。
眠っている彼女の目から、頬を伝って涙が一筋落ちた。
「夢の中まで相馬なんだな…」
そうして、俺は1人、部屋をあとにした。