ボツ作
□だぁーいきらい
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あーあー。あんな厭味ったらしい事言うつもりじゃなかったのに。
綾ちゃんって呼んで、なまえちゃんって呼ばれて。
一緒に穴掘りしたり泥んこ遊びしたりしてたのになぁ…。
やっぱり男の子はそういうのすぐ忘れちゃうのかな。
『…ぐすっ』
涙出てきちゃった。
ひっこめ!!鼻を垂らして泣きたくない!!
「…なまえちゃん?」
後ろから不意に声をかけられてびっくり。
声の主は伊作先輩だった。
「どうしたの?どこか、痛いのかい?」
優しい笑顔、安心する声。
あ、もうだめだ。涙がボロボロ流れてきた。
『いっ、いさくせんぱああい』
はしたないと思ったけど、涙で前が滲んで、泣きじゃっくりで上手く喋れなくて、頭が混乱して、もう泣くしかなかった。
「わわっ!!どうしたんだい?」
突然泣きだす私に困惑する伊作先輩。
ですよね。
『あっ、あやちゃ・・・・綾部さ、んがっ』
くそ。泣きじゃっくりめ。
話したいのに全然話せやしない。
「・・・よしよし。とりあえず保健室においで?」
伊作先輩が優しく頭を撫でてくれる。
暖かいしおっきい。2年の差を感じる。
『ひっう、ぐす、・・っはい』
返事をして、保健室へと向かう。
「で、何があったんだい?」
伊作先輩がお茶を出してくれた。
私は鼻をかんで、涙を拭いて、お茶をいただいた。
あったかくておいしい。
『綾ちゃん…綾部さんが冷たくて。』
我ながらくだらない理由。
でも大きな問題。
「綾部さん?」
伊作先輩がくすくすと笑った。
そりゃそうだよね。
今まで綾ちゃん綾ちゃんって呼んでたし。
『子供じゃないんだから綾ちゃんって呼ぶなーって綾部さんが。』
「そうなんだ。綾部がねぇ・・・あ、ほらもう夕食の時間だよ。一緒に食堂へ行こう?」
すっと立ち上がる伊作先輩。
確かに日が西に沈みかけている。
『はい!』
伊作先輩の誘いを受諾し、一緒に食堂へ向かった。