短編
□ばかみたい
1ページ/2ページ
『伊作。』
保健室の戸をあけ、名前を呼ぶ。
が、返事は無く、部屋を見渡しても誰もいない。
先程の実習で少し…いや大分腕をザックリと怪我した。
それを治療してもらおうとここまで来たのだけれど…。どうしましょう。
『・・・。』
どうしようかと悩んでいるうちも腕からビタビタと血が溢れる。
仕方ないから、勝手な事をしてはいけないと思ったけれど、救急箱を探した。
けれど色んなところを探してみても、救急箱は見つからない。
『どこにあるのかしら・・・っいったい…』
腕が痛んで、手を上手に動かせない。
『っく…もういいや。』
消毒とか、包帯とか巻いたほうがいいんだろうけど、こうなったら止血が先決だろう。
近くにあった手ぬぐいを口と、怪我をしていない方の腕でビリビリと破く。
破いた布を患部にあて巻こうとするけれど、片手なので上手く巻けない。
『・・・もう!!』
もういい。こうなったら誰かに巻いてもらおう。
そう思って破いた布を持って保健室を出た。