短編

□ばかみたい
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『伊作。』

保健室の戸をあけ、名前を呼ぶ。
が、返事は無く、部屋を見渡しても誰もいない。

先程の実習で少し…いや大分腕をザックリと怪我した。
それを治療してもらおうとここまで来たのだけれど…。どうしましょう。


『・・・。』

どうしようかと悩んでいるうちも腕からビタビタと血が溢れる。

仕方ないから、勝手な事をしてはいけないと思ったけれど、救急箱を探した。

けれど色んなところを探してみても、救急箱は見つからない。

『どこにあるのかしら・・・っいったい…』

腕が痛んで、手を上手に動かせない。


『っく…もういいや。』

消毒とか、包帯とか巻いたほうがいいんだろうけど、こうなったら止血が先決だろう。

近くにあった手ぬぐいを口と、怪我をしていない方の腕でビリビリと破く。

破いた布を患部にあて巻こうとするけれど、片手なので上手く巻けない。


『・・・もう!!』

もういい。こうなったら誰かに巻いてもらおう。

そう思って破いた布を持って保健室を出た。
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