戦国BASARA創作

□獣がヒトになるまで 壱
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注意捏造です!

それでもOKな方はお進みくださいね












我に名は無かった。

口減らしのためか、ただ邪魔だからか、よく分からぬが山に捨てられていたと師匠から聞かされた。

「赤子のクセに泣き声一つあげなかった」
奇妙な子だと百地三太夫は思った。

泣かぬ変わりにジッとこちらを見据える。
その瞳から目をそらすことが出来ず、赤子に近づく。

そっと抱き上げると、赤子は嬉しそうに微笑んだ。

百地は赤子を伊賀の里に連れて行った。


赤子は成長し半蔵と名付けた。

半蔵は忍らしい忍に育った。

感情を出さず、人を殺めることを臆さず、里一番の瞬足。

そして、婆沙羅者。

数々の大名が半蔵を欲しがった。

「引く手数多よのう、いかがする?」

「…織田に」

「うつけに仕えるか?」

ククッと喉で笑い声をあげ、ニタリと微笑んだ。

「本当にうつけならば、討ってもいいかなって…」

嬉しそうに、楽しそうに言う。

百地は背中にゾクッと悪寒がした。

半蔵の微笑みは、ヒトでは無かった。

獣…。

自分は世に獣を放つ。

恐ろしさと

どうなるのか、そんな期待が胸にこみ上げた。

織田に送り出したわずか3ヶ月で半蔵の名が各地に知れ渡った。

漆黒光眼

暗闇に光る黄金色の瞳。

主の隙をじっくりと探しながら、殺すのを待っているのだろう。
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