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□変化
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暑い。なんか重いし、息が出来ない。せっかくの休日になんなんだ。部活あるけどまだいいだろ寝てたって…。
段々耐えられなくなって、重い瞼をゆっくり開けてみると、視界が暗いままだった。
「んー…?」
なんで暗いんだろうか。寝返りをうとうと身体を捩ってみる。けど腰に何かが絡まって動けなかった。
うー…なんだよもう。
「あちぃ…って、」
目を擦ってみると、すぐ近くに隆生の顔が見えた。クリアになった視界。ぱちぱち瞬きをして、もう一度前を見ればやっぱり隆生が寝ていた。
てことは、腰に引っ付いてる腕は隆生のモノだし、暑いのは隆生とくっついてるせい。
「ばかやろう…」
なんで隣に寝てんのかは知らないけど、コイツの気まぐれに振り回されて素直にドキドキする俺も馬鹿だ。
「…しょー?」
ぎゅうっと抱き締められて、ビクッと身体が跳ねた。
「隆生、暑い、オイ」
すり寄ってくる隆生の頭を軽く叩けば、余計にキツく腕に力がこもった。
…昔っからコイツは寝起きが悪い。俺が死にそうになるくらいには。
「まだねむい…」
「今日部活あんだろ。遅れたら西岡うっせーぞ」
「うー…」
隆生は辛そうな顔をして目を開いた。本当に辛そうに。こんなに寝起きが悪いからいつも朝練に遅刻するんだ。
「隆生、飯どっちで食う?」
「んー、俺んち、今日…誰も居ねえ…」
目を擦りながら眠そうに話す隆生に苦笑を漏らし、俺も起き上がった。
「じゃあうちで食え」
昔からの付き合いだと家族も仲が良くて、どちらかの母親が居ない時はお互いお世話になっていた。