long
□恋人
1ページ/18ページ
隆生と喧嘩してしまった。
喧嘩、なのかよく分からないけど、2日間隆生と話して無い。
いつもは二人同じタイミングで謝るのに、今回だけは譲れなかった。隆生も俺もお互いが分からなくて、謝るに謝れない。
「しょーお!」
「おわっ!」
横から内田に抱き付かれて、沈んでいく思考が止まった。
なし崩しに内田と付き合う事になっていて、隆生と居た時間は内田と過ごす時間に変わっていた。今だって内田の家で勉強してるくらいだ。でも、シャーペンを片手に持っていてもベタベタされて勉強どころじゃない。
「やっ、内田、くすぐってぇ…」
「名前で呼べって言ったろ!」
「えー…しょ、しょーご…」
何となく照れくさくて小さな声で言うと、内田は嬉しそうにぎゅっと腕に力を込めた。
「可愛い、翔ちゃん。」
「嬉しくねえ…」
甘い雰囲気に流されながら、これで良かったのだろうかと不安が頭をよぎった。
内田と居ても隆生の事ばっかり考えている事には気付かずに。