short

□知らないのは、
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「あーもーなんだよ一体!」
俺の前で机に突っ伏したのは親友の礼。バタバタ足を動かすもんだから俺の脛に痛い。
「いてえよ礼…で、今度はなんて言われたんだ?」
明るい茶髪を混ぜるように撫でてやると、バッと顔を上げて俺の腕を掴んだ。
涙を溜めたタレ目に、不覚にもドキッとした。

「私の事好きじゃないでしょう?って!!なんで!?俺何かした!?」
机越しに俺に泣きつく礼。俺は苦笑いを作って空いている手で肩をさすった。

俺は目の前の馬鹿が好きだったりする。だけど礼は根っからの女好きだ。
俺は同性って云う大きなハンデを抱えながらも、気持ちを隠しながら親友の立場に落ち着いている。
礼は礼で俺の気持ちなんか露知らず、彼女の話をしてくる。
まあ、別れ話だからちょっと嬉しいけど。なんて言えやしないが。
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