novelD

□range
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たった一言


言えないこの言葉


もし言ってしまえば


全てが変わる、そんな予感がしていた……








【range】







おはようございます、と朝から柔らかな笑顔で言う白髪の少年。その少年の前には橙色の髪をしている青年が寝ていた。青年は眠そうな瞳で少年を見て、優しい笑顔でそれに返す。

「おはようさ、アレン」

にっこり笑いながら布団から起き上がる青年に少年は用意していた着替えを渡した。

「ゆっくりし過ぎですよ、ラビ。早くご飯にしましょう」

青年……ラビに言いながら、少年……アレンは着替えを渡して立つ。ラビはパジャマを脱ぎ、渡された着替えに袖を通した。

「、では、下で待ってますからね」

そう言って部屋から出ていくアレン。パタンと閉じられた扉を見ながら、ラビは盛大なため息をついた。

「たはぁ〜…ヤバかったさ」
そう言うラビの顔は赤くなっていた。上着だけ着た状態でポリポリと頬を掻く。

「……はぁ。今、危うく抱き締める所だったさ」

言いながらちらりと机の上にある写真立てに手を伸ばした。そこにはアレンと二人で楽しそうに映る自分がいて……それを見てそっと写真に映るアレンにキスを落とす。


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