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□Dilemma
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「…アイツは叩かなければ起きんさ」
「……世話のかかる人ですね」
クスクス笑うアレンにディックはサイフォンからコーヒーを注ぐ。
「起こしてきますね」
「…たまには外っておけばいいさ」
「ですが…」
「アイツもいい加減、アレンに甘えてばかりだからな。たまにはいいさ」
ディックの言葉に何となく納得してしまうアレン。昔からディックは一人でやっていたがラビはアレンに甘えていろいろアレンに任せてしまう。お灸を据えるにはちょうどいい機会なのかもしれない……
「じゃあ、二人で食べましょう。ディック」
「ああ」
焼けたトーストにバターを塗りながらアレンは笑う。
「アレン、次焼いておいた方がいいさ」
「あ、忘れてた」
アレンの皿には20枚程のトーストがあるがアレンにはまだ足りないくらい。ディックの分だけを皿に乗せ、次々とトーストを焼く。そうしながら焼き上がっていたトーストはアレンの腹に消えていった。
「………」
「ふぁ?どうしました?ディック」
「いや。そろそろ焼ける頃さ、俺が取ってきてやるよ」
「ありがとうございます、ディック」
口数の少ないディックだが、アレンに対しては別だった。
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