novelD
□last angel
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「アレン」
「はい」
「俺さ、卒業祝いに渡したいモンがあるんさ」
封筒に入ったそれをアレンは受け取ってくれた。ゆっくり中から出されたのは……一冊の通帳。アレンは不思議そうな顔をしていたが、その名義を見て驚いていた。そうそこには
名義人アレンウォーカー
と記していたから。アレンはびっくりしていて俺を見る。そんなアレンに俺は小さく囁く。
「中を見て」
言われるままにアレンは中を開いて更に驚く。そりゃそうだろう……そこにはかなりの額の金が入っているからだ。
「ラビ…これは……」
「言ったさ?卒業祝い」
「っ…こ、こんな大金……駄目です。僕には受け取れません」
アレンは涙を浮かべながら言う。アレンならそう言うと思っていたから……だから俺はアレンがそれを受け取ってもらえる呪文を口にした。
「これは俺が働いて稼いだお金さ。これから俺はアレンと共に生きるから、これはアレンにもらって欲しい」
「……………え?」
俺の言葉に呆けるアレン。そりゃそうだろう、だってこれは……
「……プロポーズだからさ、アレン……」
嘘偽りない俺の思い。アレンを繋ぎ止める鎖は借金とかそんなモンじゃない。
……俺が、アレンを繋ぎ止める鎖になるんさ……
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