novelA
□Watch only me
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僕だけを見ていて
僕はもう貴方しか見えていないのだから……
【Watch only me】
談話室にいるアレンは呆然としながらティーカップに口をつけていた。だが紅茶を飲んでいる素振りはない。固まっているアレンにたまたま通りかかった神田は違和感を覚えた。少し考えてパコンとアレンの頭を叩く。
「……」
叩かれた拍子に紅茶が溢れるがアレンは全く動かない。それに神田は苦笑してアレンの手からティーカップを奪いとった。
「………おい」
「……」
「おい!モヤシ!」
「……」
何も言わないアレンに神田はため息をついて頭に手を持っていく。そうして髪をぐしゃぐしゃにする。そうされてアレンはようやく我を取り戻した。
「……何をするんですか」
「………それはこっちの台詞だ。人が声をかけてやってるのに」
「……」
神田の言葉にアレンは少しだけ眉毛を垂らす。
「……何があった」
「………」
「おい」
塞ぎ込むアレンに舌打ちする神田。そんな神田にアレンは奪われた紅茶を取り戻し一気に飲み干した。
「…おい…」
驚く神田を尻目にアレンは紅茶をカップに注ぎ、大量の砂糖を入れる。
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