novelA
□その瞳に映るため
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狙いは君
君さえ俺を見てくれればそれでいいんさ
【その瞳に映るため】
街から離れた森に、普段はいるはずのない人影が2体あった。一人はタキシードを纏った成年、もう一人は薄いブラウスとスラックス、その上に黒いハーフコートを羽織る少年が街を見つめている。
「……イノセンス、本当にあるんですか?ティキ」
「さあな。千年公はその可能性がある…とは言ってたがねぇ…」
ふぅ…と煙草を吹かしティキは少年を見つめた。
「ま、少年にはいい運動になるだろう?」
「……少年は止めてくれませんか?ティキ……誰かみたいに名前呼ばれないのは癪ですよ」
「…はは、昔を思い出すかな?アレン」
ニヤリと笑うティキにアレンは顔をしかめる。その表情にティキはクックッと喉を鳴らした。
「ま、適当に遊んであげればいいじゃないか」
「……遊ぶには張り合いがないですけど」
屁理屈を言うアレンにティキは再び喉を鳴らしてアレンから離れる。
「……んじゃ、また夕方に迎えにくるわ」
そう言ってティキは消える。それを見てアレンは小さくため息をついた。そうして街を見る。
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