novelA

□the moon
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(中秋の名月って、確か先月さ)


そうラビは思いながら苦笑して持ってきた団子を見る。アレンからしたら団子を食べるいい口実で、つまり"だし"に使われたのだと。

「まあいっけどさ、俺がうさぎなん?」

「そうですよ。だって貴方は『ラビット』なんですから」

そう言ってアレンはギュッとラビの頭を抱き締めた。座っていたラビの頭はちょうどアレンの胸元になり、ラビは少し驚きながらもそのままでいた。ふわりとアレンの匂いがラビを包む。その柔らかな匂いにラビは安心をした。それはラビが欲しかった、安らぎなのだから……

ゆっくりラビも腕を回すとアレンはハッとしてラビを見る。

「ラビ……」

「…ん?」

「僕、お団子が食べたいです」

「……」

アレンの言葉にラビは心の中でため息をつき腕を離した。するとアレンは持ってきた団子を取り、それを持ってラビの横に座った。

「ラビも食べますか?」

「……あー、そうさね」

本当はそんな気はなかったがせっかくアレンが勧めてくれた物だからと手に2つ取る。それを確認してアレンは団子を食べ始めた。その速さにラビはつい笑顔になる。

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