novelA
□優しい時間を……
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「………あれ?」
キョロキョロ…左右を見渡してもアレンはいない。何故いないのか……瞬間理解出来なかったラビだが直ぐに予測がついた。
「……リナリーのとこかな……」
余り反応を示さないとアレンはリナリーの元に向かう。今回も同じようにリナリーの所かも……そう思いラビは視線を本に移した。
「……………」
先ほどまで読んでいた所は覚えている。だがそれ以上読む気になれなかった。本当なら半べそをかきながら抱き付いてくるアレンを甘やかせて抱き締めて……そうするつもりだったラビは自分が本を読むフリでなく本当に本に集中した事に苦笑した。
ため息を付いて本を置く。ガリガリ頭を掻いてひょい、とベッドから降りた。
「……ったく……出てくなら一言くらい言えよ…」
そう呟いて気付く。アレンが無言で出ていくはずはない。何か言ったかもしれないのを自分が聞いていない確率の方が高いのだ。もう一つため息をつく。
「…………怒ってるかな…アレン…」
今日は互いに任務がないから一緒にいよう……ラビから言った言葉。それを幸せそうに頷いたのはアレンの方。
つい数時間前の事にラビはギリ……と歯軋りをした。
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