novelA
□黒曜石の想い
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「いえ……いつも任務帰りは直ぐにお風呂に向かうのに…」
言われて神田は苦笑しながらポケットに手を入れた。そしてぶっきらぼうに何かを投げつける。突然の事にアレンは慌ててそれを受け止めた。
「……神田?」
投げつけられたのは小さな箱。アレンは不思議そうな表情で中を開けると、そこにはペンダントが入っており先には黒い石がついていた。
「……………あ、の」
アレンは渡された意図が分からず神田を見れば、気のせいか少し顔が赤い。無言でアレンに渡したペンダントを取り出しアレンにつけた。
「………やる」
「え?」
「………AKUMAに襲われた商人が礼とか言って聞かねぇから、もらったモンだ。てめぇが付けていろ」
神田の言葉にアレンは心臓が高鳴るのを感じていた。神田から物をもらう日が来ると思っていなかったからだ。
「……あ、ありがとうございます…で、でも……僕がもらってよかったのですか?」
アクセサリーなら自分よりリナリーのような女性の方がいいのでは…そう言うアレンに神田は苦笑してアレンの頭を撫でる。
「………てめぇ以外に物やる気はねぇ」
「…………え?」
「その石は俺の代わりだ。無くすんじゃねぇ」
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