novelB
□True eyes
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その出逢いは運命
その出逢いは必然
君を連れていくよ
【連れ去り】
眠るアレン・ウォーカーを見下ろすのはティキ・ミック。アレンの胸に広がる血液の上に1枚のトランプを落とす。
「さて、お仕事完了…」
ふぅ…とため息をついて煙草に火をつける。そんなティキに聞き慣れた声が降り注がれた。
「ティッキー」
「……ロード?」
何故ここにいるのかわからないという表情を浮かべるティキにロードはゆっくりティキの隣にやってきた。
「ティッキーはアレン担当だったんだね☆」
「ぁあ、ま、ちょっと面白そうな少年だったがな」
ティキの言葉にロードはくすりと笑ってアレンの身体に手を置いた。
「……ねぇ、ティッキー」
「あ?」
「ティッキー、2つ間違えてるよぉ」
にっこり笑うロードにティキは煙草をその場に落として火を消す。
「何が違うんだ?」
「わかってないんだぁ……駄目じゃん」
「……」
「まずぅ……アレンは死んでないよぉ」
「……嘘だろ。心臓を掴んだぞ」
「でも生きてる」
言われてティキはアレンの頬に触れればまだ温もりがある。それは死後のものとは違う。それにティキは瞳を細めた。
「………不思議な少年だね」
「違うよぉ、ティッキー。間違いの2つ目…」
ロードはアレンの団服に手を掛け、脱がす。そして胸元に手のひらを伸せた。
「アレンはね、女の子だよ」
「……………は?」
ロードの言葉にティキは目を見開いた。当然だろう。アレンは男として知れ渡っていたのだから。
驚くティキにロードは笑ってアレンから離れた。
「女の子なのに男の子のように振る舞ってさぁ、見ていて面白くてぇ〜、だからアレンでいろいろ遊びたかったんだよねぇ☆」
「…………あぁ、そう…………」
ロードの笑顔を何となくティキは理解した。つまりアレンはロードにとって大切な玩具なのだ、と。
だが同時に、アレン自身に興味が湧いてきた。体つきはともかく、容姿はティキの興味をそそるのだから……
「……ティッキー、いま厭らしい事考えたでしょぉ〜」
「……厭らしい…ね。ま、そんな部類かもな」
ゆっくりしゃがみ、ティキはアレンをそっと抱き抱えた。それをロードはニコニコしながら見ている。
「連れてくのぉ?ティッキー☆」
「せっかくだから、いろいろ楽しんでおきたいからな」
ニヤリと笑うティキにロードも笑う。そしてロードの扉にティキはアレンを連れて中に入った。ロードも後を追い、扉が閉まる直前……アレンを呼ぶ事を聞く。
「……ざぁんねぇん……アレンはもらっていくよぉ☆」
誰もいない空間に呟き扉を閉じるロード。そしてその場に残るのはアレンの血液と1枚のトランプだけ………
そしてアレンは消息を絶った……
「ん……」
小さな呟きと共にアレンは瞳を開く。上手く視点が合わないアレンはぼんやり天井を見ていた。
「…………」
どれだけそのままでいたのだろう。アレンは少しずつ意識がはっきりとしてきた。ティキと出会い、心臓を握られたはず。なのに生きている……そして一番に疑問に思うのは自らの左手……
「……ある……」
ゆっくり左手を見つめ、そして胸に手を当てる。
「……え?」
傷はない。いや、傷だけではない。着ていた団服がないのだ。アレンは起き上がり自らの服を見て真っ青になる。今まで着た事がない絹のブラウスを着ていたからだ。
「な……ぜ…」
眠っていたベッドはキングサイズ。見た事がない部屋……アレンは夢を見ているのか、そんな思いに苛まれる。そんなアレンに……聞いた事がある声が聞こえてきた。
「起きたようだね」
「!」
声のする方を見れば壁をすり抜けているティキがいた。なぜティキがいるのか……そんな表情にティキはニヤリと笑ってアレンに近付く。そしてアレンの白髪に触れ、囁いた。
「俺の部屋にようこそ」
「!!」
ビクン……震えて目を見開くアレンにティキは目を細めほくそ笑んだ………
to be continue