中編

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咲良は病院を出た後、ふらふらと歩いていた。









文字通り、ふらふらと、だ。












『(嫌だ、嫌だなぁ。私、まだまだ人生全うしてない。骸とも…もっともっと幸せになりたいよ)』



















そんなことが頭の中でぐるぐるとループする。


















『そういえば、ここ、どこだろう…』


















ふらふらと歩いていたのでいつの間にか周りには違う風景が広がっていた。





















『…まぁいっか……』


















今の咲良は投げやりで、どうにでもなってしまえという思考なのである。


















「…っ咲良!」












そんな咲良に声をかけた人物がいた。


















『骸…』















骸は咲良につかつかと歩み寄ると、思い切り抱きしめた。















『…骸?どうしたの?』








「どうしたのじゃありませんっ!」











びくり、と咲良が驚く。














「今何時だと思っているんです?!貴女が病院に行ったのが昼の1時で今は夜の7時ですよ?!連絡もなしに…遅すぎます!」










『っぁ、ごめ、』












咲良が謝ろうとしたところで、骸にぎゅうっと腕に力を入れ、抱きしめる。












「…心配、したんですからね…」













そして、見た骸は今にも泣きそうな顔だった。


















『ごめん、ごめんね…骸』
















咲良は謝ると同時に、ああ、こんな優しい骸と一緒にいられるのもあとわずかなんだなぁと心の中で思っていた。


















「…ところで―――何があったんです?」





















びくり。

















「やはり何かあったんですか、一体何が――」




『私ね、心臓の病気なんだって。』













「…は、」



















『それで、余命は一週間って、言われて、』













「っそんな…!どうして、」















骸は動揺しきっていた。








自分の大切な、愛しい愛しい恋人が、心臓の病気?しかも、余命一週間?













「そんな、そんなことって―――」














『骸…』















今度は咲良が骸をぎゅっと抱きしめ返す。



















「咲良…」
















骸は認めたくなかった。この腕の中にいる愛しい人がもうすぐいなくなってしまうことを。

















「咲良…!」
















だから、今にも消え去りそうな咲良を、抱きしめて、繋ぎとめておくのだ。






























抱きしめて、繋ぎとめて。

(離したくない)


















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