中編
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『…ん…』
ふと、咲良は目を覚ました。
そして、隣にあったはずの温もりが消えていることに気付いた。
『…骸…?』
昨日、2人は一緒にベッドに入ったはずだ。
『…骸…!』
死期が近づいているからこそ、咲良は些細なことで不安になっているのだ。
『…骸…骸、骸…どこ…』
ガチャ
「ただいま…おや、咲良。起きていたんですか」
『骸っ』
やっと見つけたその姿に、咲良は飛びついた。
「咲良?どうしたんですか?」
『朝、起きたら骸がいなくて…不安で…』
「そうだったんですか…すいません、咲良。もう…離れませんから」
『うん…離れないで』
そして、また抱きしめあう。
『もっと…もっと頂戴、骸。私に、幸せを。』
「…ええ。言われなくとも。」
『…我儘な恋人でごめんね』
「こんな我儘だったら大歓迎ですよ」
ぐらぐらと不安定でいつ崩れるか分からない咲良。
今にも消え去りそうな儚げな咲良。
今離したら壊れてしまいそうな咲良。
だから、もう離さない。
離さない、離せない。
(僕は貴女のもので貴女は僕のもの。)
あと、6日―――――
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