中編

□5
1ページ/1ページ












『…ん…』










ふと、咲良は目を覚ました。













そして、隣にあったはずの温もりが消えていることに気付いた。














『…骸…?』














昨日、2人は一緒にベッドに入ったはずだ。














『…骸…!』















死期が近づいているからこそ、咲良は些細なことで不安になっているのだ。
















『…骸…骸、骸…どこ…』















ガチャ















「ただいま…おや、咲良。起きていたんですか」





『骸っ』











やっと見つけたその姿に、咲良は飛びついた。














「咲良?どうしたんですか?」










『朝、起きたら骸がいなくて…不安で…』












「そうだったんですか…すいません、咲良。もう…離れませんから」












『うん…離れないで』














そして、また抱きしめあう。














『もっと…もっと頂戴、骸。私に、幸せを。』








「…ええ。言われなくとも。」












『…我儘な恋人でごめんね』










「こんな我儘だったら大歓迎ですよ」














ぐらぐらと不安定でいつ崩れるか分からない咲良。
今にも消え去りそうな儚げな咲良。
今離したら壊れてしまいそうな咲良。






だから、もう離さない。























離さない、離せない。

(僕は貴女のもので貴女は僕のもの。)







あと、6日―――――









[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ