中編
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咲良が余命宣告をされて2日目―――
『…スー…スー…』
「…………」
今、咲良は眠っている。骸の肩に寄りかかって、そりゃあ、もう、ぐっすりと。
それは、骸が隣にいること、それが安心に繋がっているからである。
「…咲良……」
骸は咲良の名を呼んだ。
咲良がここにいるか確認するために。
少し、不安になったのだ。
もし、この自分の隣にいる咲良が幻覚で、消えてしまったらどうしよう――と。
幻術師である自分を欺ける幻覚などないと思っているが、どうしても不安になってしまう。
…それだけ儚げなのだ、咲良は。
『…ん…骸…す…き…』
「…クスッ…一体どんな夢を見ているのでしょうか?」
それでも、今くらいは、このまぎれもない本物の咲良と幸せを噛みしめていたいと思うのだ。
貴女との幸せを噛みしめて。
(幸せな時間)
あと、5日―――
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