中編
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「咲良」
『何?骸…、』
咲良が言葉につまったのは、骸があまりに真剣な表情だったから。
「結婚、しませんか」
元々、咲良は一般人だとしても、骸は元脱獄犯だが、今は仮にもマフィアである。
だから、2人は付き合ってはいても、籍は入れていなかった。
2人は、この関係で満足していたのだ。
『…、え…?』
「もっと幸せにする、といったでしょう?
だから、咲良―――――
僕と結婚してください」
骸の手にはいつの間にか取り出した指輪。
薄い桜色のダイヤがキラリと光る。
その真っ直ぐなプロポーズに、咲良の目に自然と涙が溢れた。
『…っはい!喜んで。』
咲良は、幸せになりたいと願ったけれど、こんなに幸せになっていいのだろうか、と思いながら、指輪を受け取った。
幸せだ、怖いくらい。
(でも、もっと求めてしまうのは私の我儘。)
あと4日―――――
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