零崎愛織の人間復讐

□04話
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―並盛中、屋上―


そこでは、1人の少女が大勢の生徒に追い詰め
られていた。


『…ねぇ、最後に1つ聞いていい?』

少女…如月彩里、玖渚彩里、零崎愛織の3つの
名前を持つ、傷だらけの少女、彩里は諦めた
ように尋ねた。

「…いいだろう。遺言聞いてやるよ。」

銀髪の少年が答え、「どうせ死ぬんだし」と
周りも頷く。

そして、彩里は口を開いた。


『君達は、私のことを愛してる?』


「愛してるわけないじゃないか。俺達が
愛してるのは魅羅ちゃんだ!」

「魅羅さんを苛めたお前を愛す価値なんて
ねぇんだよ!」

「その通りなのなー」

「み、みんなぁ!もうやめてよぉ!きっと私が
悪かったんだよぉ…」

「魅羅さんは優しいですね。でも、俺達が
許せないんです。」

魅羅という少女は、言葉とは裏腹に隠れて
醜い笑みを漏らした。

ススキ色の髪の少年と先ほどの銀髪の少年、
そして黒色で短髪の少年と周りが賛同する。

『…そう。』

そう言って、彩里は目を閉じた。

思い出されるのは、家賊やみんなとの思い出。

涙が出そうになった。


「おい、もうそろそろ殺ろうぜ」

「そうだね。」


―ああ、みんな。どうやら私はここまでみたい

今までありがとう。


愛してたよ―


ドンッ


少女は、屋上から突き落とされ、落ちて行った。


見ると、頭を打ったのか、血が広がっていった。


そして、屋上にいた生徒は、罪悪感なんて
微塵も感じず、ただ優越感に浸り、しばらく
すると出て行った。



その数分後。


並盛中の前に1人の青年が立っていた。


嫌な予感がして、走ってきたのだ。


少し息を切らせながらも、必死に主人を探す。


そして、やっと見つけたと思ったら…


血まみれで横たる、主人が倒れていた。




〜零視点〜


主が、学校に通い始めて2週間。

その間、俺は休暇を貰っていた。

『たまには休まないと!』と、主が
気遣ってくださったのだ。

なんてお優しいのだろう。

そして、今俺は嫌な予感がして、並盛中に
走っていた。

早く、早く、速くはやくハヤク!!!!

やっと着き、探す。

そして、

―やっと見つかった―

と思ったら…


そこには、血まみれで主が倒れていた。


「主!!!!」


慌てて主に駆け寄る。

もうすでに虫の息だった。

「っ!《ドクター》に見せないと…!!

その前に《人類最強》に!!!」

急いで電話を掛ける。


プルルルル…

「『おー、零か。珍しいな。お前からかけて
くるなんて。』」

「そんなこと言ってる場合じゃない!!!」

「『!!どうした!』」

「主が!!!主が血だらけで!!!」

「『!!!!彩里が?!!』」

「早く迎えにきてくれ!《ドクター》に
見せないと!!今並盛中にいる!早く!」

「『分かった、3分で行く!!!』」

ブチッ


「主…!!!どうか…!」

祈るように抱きしめた。


〜零視点終了〜




〜3分後〜


「零!!こっちだ!!」

「分かった!」

そして、零は血まみれの彩里を抱えて素早く
乗り込んだ。


「っ!行くぞ!」

すぐに猛スピードで出発した。




「《ドクター》!!!」

「どどどどどどうしたの?」

呼ぶと、すぐに《ドクター》絵本園樹が姿を
現す。

「主が!!」

「あいたんが死にそうなんだ!!」

「え?ああああ彩里ちゃん?!!!ちょっと
診せて!」

「はい!」

「…!酷い!!打撲に切り傷に火傷に骨折…!
なに、これ!治療をした後はあるけど傷が
抉られてる!きっと内臓まで…!!
どうしてこんなになるまで放っておいたの?!」

「っ!俺の…!!俺がいなかったから…!」

「落ち着け、零!悪いのは彩里を傷つけた奴ら
だ!」

「とにかく、急いで手術よ!」

そして、その間に裏世界に連絡が回された。





〜5時間後〜

ガチャ

「ふぅ…」

「!主は?!」

「なんとか一命は取り止めたわ。でも…いつ
目を覚ますか分からない…」

「…そんな・・・!!」

「っくそ…!」


バタバタバタ…バン!!

「うにぃ!!!愛ちゃん!!!!」

「愛織ちゃん?!」

《死線の蒼》玖渚友と《戯言遣い》いーちゃん
が入ってきた。

いつも無表情な戯言遣いも今回ばかりはそうも
言ってられないらしい。

そして、2人共傷だらけで眠っている彩里の姿
を見て、言葉を失った。

「愛…ちゃん?」

一番最初に言葉を発したのは姉である玖渚友
だった。

「愛ちゃん…ねぇ、起きてよ。
ねぇ、愛ちゃん愛ちゃん愛ちゃん愛ちゃん
愛ちゃん愛ちゃん愛ちゃん愛ちゃん
愛ちゃん愛ちゃん愛ちゃん愛ちゃん!!!!」

「…愛織ちゃん。早く起きてくれないと…
玖渚が煩いんだよ。…早く…早く起きて…」

そして、友がよたよたとベットの方に歩み寄り
そっと、優しく抱きしめた。

「愛ちゃん…!」



そして…

ドタドタドタドタ…バァン!!

「おい…これ、どういうことだよ…!!」


次に訪れたのは、彩里の家賊であり、恋人の、


零崎人識だった。







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