烏の群れの中で

□問題の新入生?
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折角の新入生が入ってくると言うのに、
私は病院のため数日間部活に参加できなかった。


『へえ、さっそく問題を…』
「明日の3対3でなんとかなればいいんだが…」
『大地さん、大変ですね…』


そうか。これが噂に聞く教頭カツラ事件なんだ。
どうやらその間に入部希望の一年生が色々やらかしてくれたそうで。
大地さんが怒った、らしいです。


「正直、今のままの影山がチームに入っても中学と変わらない」
『まあ、個人技になっちゃいますもんね。コート上の王様のまま…』
「影山の成長もそうだけど、俺たちが上に行くにはチーム、をわかってもらわないといけないしな」
『何か変わるといいですね』

たぶん、影山が少し大人しくなったのは
県予選の決勝があったからだ。

大地さんがそう言った。
確かに一人になれば嫌でも痛感したんだと思う。
それでも、それでもバレーを続けたいと思うのはすごいと。私は思った。

「ななしとは状況が違うだろう」
『え、私、今口に出しました?』
「顔に書いてあるぞ」

ポンポンと頭を撫でてくれる大地さんは中学から変わらない。
私が初めてここに来たときも理由も聞かず撫でてくれた気がする……


「んで、ななしには当日、一年の分析をしてもらいたい」
『分析ですねー。大地さんと龍は?』
「メインは一年だから今回はいいよ。俺は試合出るからちゃんとは見切れないからさ」
『わかりました。少しでも部のお役にたてるなら』
「何言ってるんだよ。ななしが分析してくれるようになったから確実にレベルが上がってる」

笑って私の頭を撫でてくれる大地さんはやっぱり優しい。
大地さんの一言でバレーをやっていて良かったと思えるんだから。

「お、ここだよな。ななしの家」
『あ、はいっ。送ってくれてありがとうございました!』


だからもう少し、
ちゃんと決心が着くまで。
甘えさせてください。

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